異世界平和のためならば_2
市長さんの家に
私がいるせいで、仲違いしてしまったんじゃない?
「俺たちの仲は元から悪いから気にするな」
兄弟仲を
私は部屋のソファの前にうずくまり、座面に突っ
「ルイス様、そろそろおわかりになっていただけたのではないですか? 人間の女を傍に置くことは、ルイス様にとって不利益でしかないと」
部屋の
「ご決断を、ルイス様。お任せいただければ……彼女は、
「……何がふさわしいかは俺が決める」
「ルイス様!」
ヨアヒムさんが
そんな二人に、デトレフさんは
「私はルイス様の強大なお力を
「デトレフ、あんた!」
「ヨアヒム
デトレフさんはそう言って私ににこりと笑ってくれた。そしてルイスを
「だとしても、
ヨアヒムさんは
どうしよう、と思ってルイスを見上げたら、頭をぎゅっぎゅっと押された。頭皮と首が痛い。
「ルイス様、
デトレフさんが不器用に子犬を撫でる子供を
本当に撫でているつもりだったみたいで、ルイスは少しだけ押す力を弱めたけれど、私は
「……これに触れるのは、力加減が難しい」
はあ、と
「どうせ、シュテルーンに人間を連れて入ることはできません」
「いや、ヨアヒム殿。
デトレフさんの
「ルイス様の経歴に傷ができてたまるか。ルイス様もこれ以上のお
「あの、ルイス。その会議ってどれぐらいの期間……?」
「一日で終わることもあれば、一週間ほどかかることもある」
私の質問に、ルイスは
「一日どころか、たとえ半日でも離れるのはごめんだ」
私の手を握ってまるで愛の言葉をささやくみたいにルイスは言う。これは絶対に町の中に連れていかれることになるだろう。心配するヨアヒムさんには悪いけれど、私も離れられないとばかりにひしっとルイスにしがみつく。
うう、視線が
私だって離れていられるのであればそうしたいけれど、ルイスのために傍にいるんだよ!
「会議には連れていけないか?」
「ええ、ルイス様。会議場のある竜の
「……そうであった、な」
ヨアヒムさんの朗々とした回答に、ルイスがぐぐぐ、と
「竜の塔、っていうのは?」
「選ばれし竜族しか入れない、塔のことだ。中にはさまざまな行政機関が入っている。
それがどういうことかわかるな、って目でルイスに見られた。
つまり、私を竜の塔の中に連れていかないと、
もし、竜気を使う機会がなければ、
「会議場には、竜の姿になって入るのがしきたりだ」
「うわ、そうなんだ……人の姿じゃ
「駄目だ」
……何かそれらしい理由をつけて断れないんだろうか。
「ルイス様? まさかとは思うのですが……」
ヨアヒムさんが青ざめた顔をしている。
ルイスが竜に変化する
「まさかルイス様、エミ様を会議場に連れていかれるおつもりですか?」
「ああそうだ。必ず連れていく」
本当はものすごく嫌だけれどそうするしかない、仕方がないっていう顔だ。
恋人のことを考えてるのにそんな顔をする人がいる? 私がじとっという目で見てやると、ルイスは
「俺はエミを愛している……エミと離れることなどどうしても考えられないのだ」
このっ、作り笑い
本気じゃないってわかっているのにドキッとさせられる。たちの悪い美形である!
「……か弱い人間の
デトレフさんが、ぽかん、としか言いようのない顔をして言った。
デトレフさんは私とルイスの仲を
「竜王の座を諦めはしないし、シュテルーン領主の地位を
ルイスはきっぱりと言い放った。
「エミのことが俺にとって不利に働くことはわかっている。だが、エミを連れていくのは決定
今できることをやるしかない、というわけだ。
ルイスが意味ありげに目配せしてくる。私はわかってるという意味を込めて
犯人は、ルイスから力を
そこで手がかりを
意気込んで
「俺の妻にする以外で、領地会議の場にエミを連れていく方法はあるか?」
「え」
私の
ものすごく嫌そうな絶望の
「ひどくないですかヨアヒムさん! 言っとくけど私、結構いい奥さんになると思いますよ!? 料理は
「おまえが今言った仕事は
「ヨアヒム、俺は建設的な意見が聞きたい」
ルイスは頭痛を
間接的にプロポーズをしてきた人のする顔だろうか。バレたくないのなら、ルイスこそもっと
ルイスは、私を家族
ドキドキしてる私が変なのかもしれないけれど、きっと犯人から見て私は
「ルイス様ァ……! どうか、どうかお考え直しください……!」
ヨアヒムさんが
「後は
「妻でも変わりませんよ、ルイス様ッ!」
「どちらがましかという話だ。
「うぎぃぃいい……!」
ヨアヒムさんが頭を
「ルイス様、ご提案なのですが」
「なんだ? デトレフ」
「ルイス様の姉君、エミーリア様はいつも、
なんと、ルイスにはお姉ちゃんもいるらしい。
親近感を覚えてルイスを見たけれど、その顔には
「姉上か。そういえば、毎度連れてくる許嫁が変わっているな」
「ええ、許嫁でしたら家族の一員として連れていく前例がありますし、その段階であれば
「人間の許嫁を連れて
「何も思わないのではないか?」
ヨアヒムさんの叫ぶような問いにルイスは
「俺がふぬけたのではないかと考えるかもしれんが、何にせよ父上は実力重視だ。力さえ示せば────俺の
逆に言うと、力を示せなければ、困ったことになるんだ。
私はルイスの手を摑んだ。あなたの力はここにあるって伝えたかった。ルイスは、ヨアヒムさんとデトレフさんの方を
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