雪のない町のキッチンで、煮込んだ孤独に、思い出をひとつまみ。

地元新潟を離れ、就職先の福岡で初めて迎える暖かい冬の日。
疲れた胃腸を労るべく、「私」は一人用の鍋にポトフを作る。

一人暮らしの部屋ではどんなふうに音が響くか。
故郷の鋭い寒さと白い悪魔がどれほど懐かしいか。

きっちりと端正な文章が、故郷と母への想いを繊細に描き出す。
隠し味を加えたポトフは、きっと、いつもより優しい味がする。

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