100パーセントの白菜を食べるにはもう新潟に産まれなおすしか道はない

寒さの厳しい雪国新潟出身の「私」が、故郷以外でひとりで迎える初めての冬の、「美味しい話」です。

仕事の締めに忘年会にと、妙に浮わついた年末の繁忙期。ふと時間のできた「私」は、下宿先の部屋で一人、白菜のポトフを作ります。
ぐつぐつという幸せで暖かいはずの音から「私」が感じた感情は、「孤独」。そんな折に届いた冬の贈り物とは。

新雪に残るシュプールのように描かれる、「私」の心の動きのカーブがとても好きです。そしてとっておきの贈り物も。
白菜を美味しくするには、寒いところで育て、寒い景色を見ながら暖かい所で食べるだけではなかったんですね。まさか寒さにそんな効能が。

読んだだけで美味しく、そして、暖かくなるお話を探している方は、是非。

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