本作をみなさんにお勧めいたします。

 人は利害で動くといったのは、韓非子だったか。
 生物は遺伝子の乗り物であり、遺伝子は利己的であると説いたのは、リチャード・ドーキンスか。
 だが、利害で動く利己的な存在であるはずの人間の、駄目な部分、無駄な部分をすべて切り落としてゆくと、その神髄は大切な人を思いやる心なのではないかと、本作に於いて作者は語っているようだ。

 別の書き手の方が、他の書き手の方に本作を推薦しているのを見て、へえ、どんなもんだろう?と読んでみたのだが、納得した。なるほどこれは、人に勧めたくなる。美しい人の在り方を、清廉な雨と花にたとえて描写する本作を読めば、小説を書くことを知る人にとって決して少なくない衝撃を与えることであろう。

 かく言うぼくも、本作を読んで清々しい感動を得ると同時に、「むむむ」と唸らざるを得なかった。
 そしてここに、本作をみなに進める次第である。

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