DEATH or KISS お味はいかが?

 memento mori――死を、想え。
 死、という蠱惑的な響きは、芸術においては無視出来ない。

 そんな死という演技に向き合う青年と彼女の生活を、コミカルに描いている。舞台の1コマ、その演者、さらに稽古にまで切り取られたト書きを読んでいるかのようでもある。

 2人の、目線を、言葉を、唇を、そして身体を重ねる描写に、死の演出を飾り付けるのも素敵だ。
 惹き付けられるのだ、生も性も、行き着く先は死という行為なのだから。舌先に残るのは、決してジャムやケチャップの味だけではあるまい。

 下町風情の小劇場が目に浮かぶ作品、楽しく読ませて頂きました。

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