女性視点9割の恋愛小説です。残り1割の男性視点の差込方が最高でした。
物語のネタばれを回避する為、2人の事情は書けません。
その部分を抜きにして本作の面白さを表現させて頂きます。
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「家族の繋がり」や「職場の恋愛事情」、そして「友人関係」の三点が密接に融合したリアルな恋愛小説。
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社会人の生活で職場時間が殆どだと思います。そこで同僚は友人になり親友になっていく事もあるでしょう。異性ならば恋人になるかも知れません。
私は恋愛小説が好物でこれまでにも沢山読んできたつもりでした。ですが、これほどまでに優柔不断な女性主人公は初めてです。
作品を読み進め、彼女の心境は分かります。たしかに不安だろうし色々と気になるのは分かります。分かるんですが、ここまで素直になれないか?!っと声を大にして言いたくなる面白さがありました。
これはある意味で男性視点にも言えることです。
兎に角、みんな素直じゃない!!
しかし……だからこそ……
その中に本当の人間味が存在し、リアルな恋愛物語が出来上がったと思いました。
大人の恋愛。でも、未熟な恋愛。
揺れ動く感情の恋愛ジェットコースター。
あなたも乗ってみては如何でしょうか?
恋愛に臆病なヒロイン柚葉が職場で出会ったのは……
過去の恋愛にトラウマがあり、なかなか新しい恋愛が出来ない柚葉に同僚達は彼女に恋愛をさせようと試みます。
そんな中現れたのが肉食系の陽。
陽は柚葉に対して積極的に近づこうとします。
でも柚葉は陽を避けるのですが……
柚葉とその同僚達の恋愛話が大人の恋を思わせます。
ほろ苦さ、甘酸っぱさがうまく混ざり、絶妙に表現をされています。
柚葉の臆病さと同僚達の駆け引きも読みどころです。
その中で気付く柚葉にとっての幸せとは。
柚葉と陽の両面からストーリーが楽しめます。
特に柚葉の心の変化がとても丁寧に描写されています。
最後につかむ柚葉の幸せとは。
ぜひ柚葉の心を感じてください。
ある出来事がきっかけで、恋愛に臆病になってしまったヒロインが、ほんとの自分の気持ちに気付くまでがとても丁寧に描かれています。
ayane様の小説を読むのは二作目なのですが、相変わらずうまいです。読む者を、やきもき、じれじれとさせる手腕はぴかいちです。
私が特に好きなのは、『プロローグは刺激的に』でもそうだったのですが、主人公とその相手の両親をきちんと描いているところです。そして、主人公の相手となる男性と主人公の両親との関係がとても気持ちよく描かれていて、私はそこがとてもいいなぁと思うのです。
ただ単に恋愛だけを描くのではなく、友人や家族といった主人公を取り巻く人たちとの関係性も丁寧に描かれているところが好きです。
柚葉ちゃんと日向くんとの関係は今はまだ恋愛ですけど、その先には家族というさらに大きな世界へとつながっていくのでしょう。そういうことが自然と想像できてしまうところが、ayaneさんの小説の最大の魅力ではないかなぁと思います。
今回も楽しませていただきました。ありがとうございました。
過去の恋愛がトラウマで、恋に積極的になれない悩めるOLが主人公のオフィスラブストーリー。
昔の彼氏にひどい言葉を投げかけられ、あまつさえ学生時代に家庭教師として派遣された先の不良学生に暴力を振るわれ、つくづく男運がない悲運の主人公の柚葉が、就職先で出会った男性はまさかのあの人だった!
皮肉な赤い糸は簡単には切らせてもらえず、様々な人物と思惑が交錯しながら話が進んでいきます。
とにかく柚葉をはじめとする心情描写が丁寧な言葉で的確に表現され、また彼女を取り巻く職場仲間や男たちも個性が際立っており、柚葉を揺さぶります。
時に同情し、時に消極的なところやお人好しが過ぎる主人公にやきもきしながら、読者の心を鷲掴みして話さないパワーが感じられます!
長い作品ですが、ページをめくる手は止まりません。
更新を首を長くして待っていた方も多いはず☆
オススメです!
完結おめでとうございます。
そして、お疲れさまでした。
後半は連載を追いかける形で拝見し、物語の結末を無事全て見届ける事が出来ました。
明日から更新マークが付かなくなるの寂しいなぁと思いながら。
それはさておき、本題のレビューですね。
物語が第2部(社会人編)に突入してからは、終始じれじれで読者様をひやひやドキドキさせていたと思います。
雨宮さんの過去の恋愛のトラウマが脳裏を過り、どうしても最後の一歩を踏み出せない……。
そんな女性の繊細な感情を見事に表現していて、本当に素晴らしいものでした。
最後の最後まで、目が離せなくなる。大人の恋愛の甘さも、ほろ苦さも、含めた、とても素敵で感動的な物語でした。
私はラストのページで涙腺緩みました。
大人の女性にはぜひ読んで頂きたい作品です。
素敵な物語を紡ぎ出してくれた、作者様に感謝と祝福を込めて。
押せ押せのライオン系男子と臆病なウサギ系女子のオフィスラブストーリーです。
過去の恋愛がトラウマとなり、恋に臆病になってしまった27歳の柚葉。
ある日、勤務先であるデパートの総務部に転勤してきた年下の男性の名前を見て驚きます。
なぜなら、柚葉は大学生の時に、家庭教師の面談に行った先の同姓同名の高校生男子に手荒な真似をされたことがあったから。
爽やかなイケメンの同僚が、かつて会ったことのある男子高校生なのか、柚葉は彼のことがとても気になりだして──
自分の気持ちを明かさない柚葉に少々強引に迫る日向君は今どき珍しい肉食系男子で読み手の私までドキドキしてしまいます(//∇//)
そんな彼ですが、柚葉と再会を果たすまでの間に壮絶な過去を経験していました。
彼が柚葉に近づくのは、過去のことを覚えているからなのか、それとも忘れているからなのか。
彼との過去や自分の気持ちをなかなか確かめられない柚葉。そんな彼女にシンクロしつつドキドキをたっぷり味わえます。
柚葉と同じデパート勤務の同僚女性達も個性豊か。女同士の時に火花散るようなやり取りも見どころの一つです。
柚葉sideと陽sideで視点を変え、描かれて行きます。
怖い思いをした柚葉を知らずに陽が助けるところから始まります。
柚葉は大学生で、家庭教師の派遣先で陽の所へ向かわされます。
しかし、勉強は、大人のステップを強引にして来ただけ。
それ以前に、他の男性に犯罪まがいのことをされていて、恋に臆病だった柚葉は、キスでも抵抗を感じます。
柚葉のその傷口を癒すように、陽は関わって来ますが、なかなか噛み合いません。
それは、獅子と兎だから?
私は、焼き鳥屋を切り盛りする陽の母親の優しさに胸を打たれました。
どうしても大学へ行かせて、その後の生活を安定させたい思いも分かります。
ぜひ、ご一読ください。
恋愛が草食系・肉食系などと揶揄されるようになったのは記憶に新しい所です。
狩るものと狩られるもの。加害者と被害者。
考えてみると、恋愛をハンティングに例えるのは昔からあり、食うか食われるかに例えるのも昔から。
「獅子は兎を狩るのにも全力を尽くす」と言いますが、それもまた違う意味にも捉えることが出来そうです。
普段は眠りこけている獅子が、ひとたび牙を剥いたら……?
>「保健の授業で性教育イマイチよくわかんなかったんだよな。ちゃんと実技指導してくんない?年上だし経験豊富なんだろう」
肉食獣のような男子高校生と、その相手をしなければいけなくなった女子大生。
決して仲良くなれない「拒絶」を突き付けて終わったはず……なのに。
年月が過ぎて社会人となり、同じ職場で再会を果たす二人が絶妙かつ滑稽でした。
絶対無理・生理的に受け付けない、とは女性の常套句ですが(笑)、そんな感情を引き裂いて急速に惹かれ合う恋愛模様が愉快なんです。
ざっくり分けると、お話は二部構成になっています。
主人公の大学生時代のお話。
就職して婚活に励むお話。
婚活でセレブリティな医者と知り合って、そっちと交際する方がどう考えても「勝ち組」なのに、今いち踏み切れない主人公がいじましいですね。
金や地位(医者)ではなく、身近な存在(同僚の肉食獣)に魅かれて行く葛藤。
女性ならではの感情の奔流が、これでもかと列挙されています。
……よく見たら作者様、書籍化経験作家でした。
道理で描写がうまいわけです。そんなん脱帽するに決まっているじゃないですか。
悲喜こもごも、清濁併せ呑むオトナたちの化かし合い。
さまざまな思惑の「動物」たちが本能をさらけ出す瞬間、見てみたいと思いませんか?
不良高校生の日向くんの家に家庭教師として招かれた柚葉。
だけど勉強も他人も毛嫌いする日向くんは、追いかえす目的で柚葉にひどいことをしてしまい、彼女を傷つける。
だけど本当は心の優しいやつで、柚葉のピンチに偶然居合わせたときには裏で助けてあげたりする憎いやつ。
そんな日向くんと柚葉だけど、結局すれ違って会うことはなくなり……。
そして時は流れ、OLとして日々を過ごしている柚葉の前に現れたのは……
という感じで、ちょっと苦い思い出を抱えつつ色恋沙汰を繰り広げる、大人な恋愛物語です。
柚葉を取り巻くOLの友達や社会人の男性たちがとてもリアルで、綺麗な面もあればやはり汚い面をさらけ出し、柚葉は柚葉で恋に臆病になったり大人ぶって余裕を見せようと虚勢を張ったり。
こんな男止めちまえ! こいついい男じゃん、こいつにしなよ! とか思いつつも日向くんとの関係はどうなるのだろう。そんな感じで主人公のことを応援しつつ、複雑な大人の恋愛が楽しめる作品です。
文章がとても読みやすくて、柚葉の心情もすごく分かりやすく伝わってきます。
キュンキュンときめく乙女ではない、傷つき悩みながら恋に翻弄されるリアルな主人公の柚葉に、私は惹かれました。