願わくば、花の下にて再び相まみえん

 正直に言うと、冒頭から混乱する読者ばかりだと思います。ジャンルと第一話と第二話の内容がまったく違いますから。ジャンル分け間違ってなくない? と思ってしまいます。
 しかし、旅人が出会った人と過去や経緯を語りあい、幽霊のように人が消えてしまう、能を思わせる構成の現代ドラマを繰り返した後の結末は、確かに歴史もの。短編の現代ドラマとしてだけでなく、松の再会にいたる時空を超えた放浪譚としても読める、奥行きのある作品だと思います。

 個人的には、もっと現代ドラマパート――人々の再生譚があってもいいかなと思います。それが色んな時代だったりすると、なお自分には好みドストライクです(どうでもいい)。