光輝く能天使《レディアント・エクスシア》に花束を
何が何だか分からない栄と共に帰宅した迪子は、朝の明るさとは無縁の、今にも泣きそうな顔を隠すように俯きながら語る。
「あたしね、流産してるんだ。……生きてたら栄と同い年。だから、運命だって思った。あたし、ワルだったから彼もワルでさ? あたし嬉しかったのに、出来たって言ったら本気で撲りやがってさ、死にかけた。気がついたら病院で………………赤ちゃん死んでた、あたしだけ生きてた」
グッと堪えるように顔をあげる。
「最後の賭けのつもりでここに来たの。ちょっとだらしないけど、……母ちゃんで居させて」
流産し、子どもが出来なくなった女性。親に捨てられ、愛情を受けられなかった子ども。探せばいくらでもいるかもしれない。しかし、そんな二人が出会える確率は低い。……そんな中、二人は出会ったのだ。
その後、二人は周りが羨むくらい仲の良い親子として四年間を過ごしたのは言うまでもない。
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「いやぁ、迪子さん、貴女が来てくれたお蔭で助かりました! あれから若い母親も志願が増えまして! 里子システムも国公認の方向に向かいそうなんです! 」
「いえいえ、元ヤンが役に立ってよかったです」
そう、彼女は見た目と裏腹に喧嘩も強い、元ヤンキー。たまたま斡旋グループが俄だった事が幸いし、彼女に返り討ちにあった。事の顛末はただそれだけ。
「いやいや! ありがとうございます! ……それでですね、これからどうなさいます? 」
「栄の意思に任せます」
「そうですか、そういえば……」
~~~~~~~
「ただいま~」
帰宅した迪子の視界が赤く埋め尽くされる。
「ぷは! 何?!」
「……母ちゃん、四年間ありがとう。これからも俺の母ちゃんでいてください」
それはカーネーションの花束だった。
光輝く能天使《レディアント・エクスシア》に花束を 姫宮未調 @idumi34
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