傷をなめ合うのではなく更なる高みに。素敵な余韻を感じるお話でした。 クセの強いキャラと背景を上手くまとめてパンチのある物語に仕上がっていると思います。
親がいない子供を引き取り、親として育てる「里親」の制度が発達したとある町。そこで、一人の少年の「母」になった主人公。年頃の息子に美人の母ちゃん、困惑しながらも次第に心を通わせてい中、息子に纏わるとある事情が明らかになり……。互いに様々な秘密、様々な事情を抱えていた2人。それが次第に結びつき、やがて真の親子になるまでを、短い文章の中に濃縮し、そして丁寧に描いた作品。たとえ血が繋がってなくても、例えどんな過去を持っていても、親子の絆はきっと生まれるものなのかもしれないですね……。
ちょっと不良な少年の里親を志願する若い女・迪子。気前のいい少年になぜ里親が長続きしないのか……その理由が分かった時、それでも彼の母であり続けようとする迪子さんの格好良さにしびれます。強いお母さんっていいな。今回は自主企画の字数制限もあり短編でまとめていただいたのかと推測しますが、中〜長編にしても面白そうな作品だなと思いました。