あるいは任氏という名の狐

作者 あたし黒髪のようにとけそうな気がする

秋風に揺れるカーテンに妄想したあの日々を髣髴させる幻想的な世界観

  • ★★★ Excellent!!!

舞台は山の中高校、多分長野です。男を誑かす狐のような先輩の足取りを追うべく、主人公の男子高校生が茜さす放課後の校舎を歩き回る本作。

主人公の青柳は、どこか達観しているというか、オタサーの騎士の中でも冷めている雰囲気があります。その性格が舞台の放課後の教室と夕暮れ時とに絶妙にマッチして、どことなく捻くれていた若い時代を彷彿させます。

しかし、高校時代ってみんな孤独を抱いていて、それでもどこかに帰属したいような、何か面白いことに巻き込まれたいような、心の奥底ではそんな風に思っていた過去の自分がふつふつと甦ってきまして……そういう若い時代のコンプレックスな感情と、謎の犬? の存在と、中国の伝記とでミックスされ、本作は独特な世界観に仕上がっています。

ともかく、登場人物の名前が抜群に長野です。
俺じゃなきゃ見逃しちゃうね。

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