先生、生徒

　手と手がふれあった瞬間から加速していく想いは、けれど叶えてはならない禁断の蜜。ふれあえないからこそ切なく強まる、二人の想いの行く末は――――
　ふれあえなくても伝わる想いがある。エールがある。そんな話です。

先生と生徒。ドキドキしますよね！
前半と後半で視点が切り替わることで、二人の感情の揺れが楽しめました。

「先生と生徒の恋」と書いてしまうと何やら禁断のニオイがしますが、本作品はまったくのベツモノです。これ以上ないくらいの爽やかな物語。

こんな先生がいてくれればもっと受験勉強頑張れたのに……。

この作品を読み終えたら誰もがそう思うはず。春風を誘いそうな物語をぜひあなたにも。

塾講師の先生と受験生の生徒のお話。
関係を越えてしまいそうな二人の間では、自然と発生してしまう壁があり。
お互いがお互いを諦めず、心を通わせるために取った手段とその結果はーー

と言った具合に物語にはいろいろ注目点があって、その一つ一つが切なく、でも温かったように思えます。
いやー、いいですね、青春ですね、そしてよかったですね（オッサンみたいな感想しててスンマセン

残念(？)ながら私にはこんな経験ありませんでした。実際してみると辛いんでしょう。こんな単純な思考ですが、この作品はハラハラドキドキしながら読んでしまいました。

無駄のない設定でシンプルな作りなのに心情表現がしっかりとしていて面白い！アッサリと読み終わると、この先どうなったんだろ？とか二人の将来を妄想しちゃうような作品です。

もう、この時点でそうとう世界観に入り込んでますね。是非、ご覧あれ！


（レビューを書いた気になっていました。遅くなりすいません）

恋愛のやきもきしたような…もやもや感がラストでフッと軽くなる。

　でも、残されるほうも辛いよ

　いや、高校の教師も良いかもしれない……
　そんな結論で締めくくる私のような人間は読んではイケナイ。
　穢れきっている自分の感想とは真逆な、決意と切なさがこの作品にはあります。

企画参加作品です。
前半と後半の二部形式になっておりますが、短編ながらとても感動的物語です。
前半で「どうなってしまうの？」と読み手に一抹の不安を残します。その不安のタネも、前半で撒かれているからなのです。
そして、後半。
「なるほど！」と一気に溜飲が下がり、その上とても心地よい感動に包まれます。
もちろん「働くヒト」がテーマなのですが、作者が仕掛けた切り返しに、読み手は上手くはめられてしまいます。
そのテクニックに、してやられてしまいます。
参りました！

店員と顧客、医者と患者、上司と部下──
仕事において相対する立場はいろいろありますが、先生と生徒という立場ほど高い壁をもつ関係はないのではないでしょうか。
こと恋愛感情が沸き起こった場合に関しては。

塾の講師と受験生という、お互いの恋愛感情が共鳴しやすい年齢差の二人。
ですが、そこに立ちはだかる「先生」と「生徒」という立場の壁は高い。
高いのに、ある日突然その壁の向こうにいる相手に、意識が触れてしまった。

壁の向こうの存在を意識しないわけにないかなくなってしまった二人がお互いの立場を守り抜こうとするその健気さにぐっと心を掴まれます。

透明感のある美しさと優しさに満ちた、素敵な物語です。