天使達の議論

 ガブリエルの告白が終わると、三人は暫く黙っていた。

 やがて小さく息を吐いたラファエルが口を開く。


「つまり、ガブリエルがサラ様を殺したと言いたいのね?」

「えぇ、そういうことになるわね。私はセンセエに失望されたくなかったのよ。わかるでしょう?」


 心なしか頬を紅潮させて言う少女に、ミカエルがゆっくりとした口調で尋ねる。


「サラ姉さまが下に落ちたのを、貴女は見届けたの?」

「いいえ。センセエが落ちていく姿を見ただけ。他には何も見なかったし、聞かなかったわ」

「ではそれがサラ姉さまだと断言は出来ないわね」


 まぁ、とガブリエルは目を見開いた。


「ミカエルったら、何を仰るの」

「サラ姉さまではない人間が落ちた可能性もあるということよ」

「そうだとしても、死んだのはセンセエだわ。それは間違いないじゃない。他の死体がありました、なんて反則よ」

「そんなこと言っていないわ。ただ、貴女がサラ姉さまを殺したと言い切るには、少し弱いかもと思ったの」


 少し機嫌を悪くしたガブリエルが黙り込むと、その代わりとばかりにウリエルが手を上げる。


「私も知っているわよ、先生が亡くなった理由」


 その口元は淀みなく言葉を続けた。


「ガブリエルの話とは少し違うわ。聞きたい?」

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