子供は親を選べないが……

人が生まれて初めて参加する共同体は家族であり、そこから少しずつ、重心を移して別の共同体の輪に入っていく。

どこかで躓いたら即詰みと言われる現代社会において、作者の方の苦しみは想像するに余りある。きっとここに書かかれていることはごく一部に過ぎず、同情という言葉では片付けられない問題を含んでいる。

作中では父からの虐待と対比するように、豊かな交友関係が描かれている。単に運が良かっただけではなく、作者の方の一歩を踏み出す勇気が環境を変えたのであろう。

虐待のみならず、理不尽へのヒントになる一作だ。

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