アトランティス、という単語に興味を引かれて読み始め、登場人物や設定があまり自分の好みじゃないなと思いつつ、そのまま当時の公開分(九幕ぐらいまでかな)一気に読み切っていたという……完全に、やられました! な感じの作品です。
とにかく、物語に力がある。
登場人物の存在感というか、熱量に引き込まれて、一気に読み進めてしまう。
どのキャラクターが好きというよりも、物語全体にある熱、生命感とでもいうのか、そういうものに引きずられるようにして読みました。
まずは一ページ、開いてみることをおすすめします。
冒頭の自己紹介からして作品の面白さが出ているので、きっと一気に作品世界に引き込まれると思いますよ。
――長野の山奥に日本中の天才をあつめた研究所があった。
そんな研究所に収容された、天才科学者の中に1人のハゲ。いや、男。主人公は51才のおっさんです。しかもハゲ。名は織田輝男。
『輝く男』です。名前憶えましたね? 彼の語尾はハゲですからね。覚えましたね?
でも、彼が輝いているのは頭の外側だけでは無い。
その内側なんだ(キラン
そんな彼が、その天才的な頭脳でついに世界からハゲを根絶!? 全ハゲの希望の星。織田輝男。彼と、彼をとりまく『地上の星』な物語だ!
……ふざけすぎました。ごめん。
物語はしっかりとした語り口で語られる冒険物語。
幻の大陸アトランティスを探し出すという。『これぞ物語!』という魅力に溢れた本作。もの静かな語り口ですが、読みずらいことなんてなく、読み始めたらスラスラと読めます。
少年少女時代のキラッキラした夢。それから早四十年。
社会的な大成功を収めた面々がそれを打ち棄て、追い求めるその夢の行きつく先には……
アトランティスとは何なのか? 何処にあるのか?
それを追い求め続けた者達の行きつく果てとは?
輝く男が照らし出すのは、我々人類の希望か否か。
いまからラストが楽しみでなりません。
危険とされている科学者たちを、一つの刑務所にまとめて収容しているという設定が、まずすごいです。
科学者を主人公にするということは、かなりの知識を有すると思うのですが、読んでて「賢いな~」と言わされてしまうほどに、しっかりとした知識を盛り込んでいます。
そのくせ、ただのうんちくな感じが全くせず、むしろ知識を披露されればされるほど、科学者の壮大なロマンにわくわくさせられます。
人間模様もしっかりしていて、科学者が苦悩している姿がリアルに表現されています。
「アトランティスのつまようじ」の正体を知ると、これまたセンスがあるなあって関心させられました。
物語としてのレベルの高さを感じさせる作品ですが、何も考えずにサラッと読んだとしても、すごく楽しめる内容になっていると思います。
まだ途中なんですよね。続きまだかなーって思ってます。
刑務所に閉じ込められている男、織田輝男の長い前置きで始まる本作。
自分の発明のせいで五千人の命が奪われたのだと苦悩する織田輝男を始め、アトランティスの首都で生まれたE・スケイプという名の「ボク」。そして「わたし」という名の人物など、序盤から三つの視点が登場して、壮大なストーリーを予感させます。
今の段階でキーマンと思われるのはやはり、織田輝男でしょうか。おそらく彼が脱獄をしたところから大きく物語は動くと思われます。まるでアルカトラズ刑務所かのような厳重な警備をかいくぐった先にある物語は一体――。
タイトルにもある「アトランティスのつまようじ」が、どう物語に関わってくるのかも気になりますね。
皆様も是非、壮大な科学小説(サイエンスフィクション)を読んでみませんか(⌒∇⌒)
これは書き手の壮大な構想を『一冊の本に纏めた』詩編である。
強烈に癖のあるキャラクターの自己紹介、それが冒頭に用意されている。
そこでまず身を乗り出し、姿勢を正して読む構えをとってしまう。
紹介文は短いものだったが、その500文字にも満たない文章に魂が宿っているのを感じたからだ。
あらすじにもある通り、これは脱獄物語。
しかし普通の刑務所からの脱獄ではない。
超極悪人が収容されている無法地帯からの脱獄でもない。
ある特殊な条件を満たす者が収容されている場所からの脱獄だ。
その場所については、読み進めると直ぐに明記されているので是非御自身の目で確かめて欲しい。
狂科学者、人間味の無い合理的な人物、そして未知なる機械人形。
物語の軸となる主要人物に加え、妖艶な謎の女性やロリテイスト漂う女科学者等、一癖も二癖もありそうな愛すべきキャラクター達が脇を固める。
それだけでも既に面白そうな予感が走る設定であるのに、これでもかこれでもかと興味深く惹きつけられるエピソードが重ねられ、もう許してくれと身体が歓喜の悲鳴を上げ続ける。
私如きのレビューでは満足にこの物語の良さを伝えらえないのが口惜しいが、それでも書いておきたい。
何故なら、そうする事によってこの真なる壮大な物語がWEBを閲覧されている方の目にとまるからだ。
本当は独り占めして誰にも知られたくない。
そんな思いもあるのは確かだが、それ以上にこの大作は万人に評価されて然るべきだと思う気持ちの方が強い。
是非読んでくれなどと、陳腐な台詞は書けない。
だから、こう書こう。
共に新たな可能性の息吹を見定めよう、と。