トイレで読む、トイレのためのトイレ小説

作者 雹月あさみ

読めばわかる驚愕の構成力と文筆力。テーマはトイレでした。

  • ★★★ Excellent!!!

トイレをテーマにした作品集です。

注目すべき点はトイレを題材にしながらも、一つ一つの物語が恐ろしいほど洗練された内容になっている事です。

人物描写は勿論ですが背景や世界観がしっかりと書き込まれ、短い文章で表現される技術は類稀な才能と言わざる得ません。無駄なく簡潔な文章力は感動的なお話から笑えるストーリー。深く考えさせる物語と作者さまの幅の広い表現力や思考に圧倒されるでしょう。

奇抜な設定やファンタジーな側面に頼る事なく、日常の中で大切な部分に着目する確かな観察力。そして、人物の一人一人の人生ドラマが活き活きと描かれた作品集です。

エンターテイメントの類としてSFな設定はありますが、それさえもリアルな未来を描いている感覚は拭えません。もし、あったら。もし、存在していれば……。そんな近未来な出来事から、身近にある問題を取り上げサラリとトイレに繋げていく様は魔術師のようにさえ思えました。

読み進めていく内に過去の登場人物が出てきたりと、トイレを通じて物語は繋がっていきます。どのキャラクターがどこでスピンオフするか分からない面白さ。ヒューマンドラマが作者さまの紡ぐ物語には欠かせない魅力でした。

どこまでも、いつまでも読んでいたい作品。

そして、いつまでも感想を書いていられる作品。

それほど素晴らしく完成された物語です。

一つ一つのエピソードは読みやすく読後感もありますので、試しに読んでみては如何でしょうか?

損はしない一級品の小説でございます。
どうか、一読あれ。

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