チョコレートと死神、意外ながら近しい感じもする取り合わせがまず美しい。文章もさりげなく上手いです。主食たりえないチョコレート同様、死神もこの作品において主人公の人生を大きく左右したわけではないはずです。そのかわり、甘くとろけるチョコレートのように余韻が物語の全体に広がっているように感じました。
きれいな文章は読み詰まることなく、すっと頭に染み込んできました。家族の優しさは、近くにいる分だけ遠回りで届きます。死神さんの苦みばしった一言は、そう読者に教えてくれます。
自分もよく、一息ついたときにチョコレートを食べます。そのときになぜか感じる、不思議な充実感。主人公の「生きている」という感覚。そうそう、まさにそれです! 共感しました!苦味を知っているからこその甘味ってあるなぁ、と思います。どちらも内包するチョコレートは、まるで人生そのもの。
題名が物騒だったけど、読んでみればいいお話で、死神の彼もわりといい人(?)でした。生きてる、生きたいって実感した時に何かをするっていう習慣、結構大切なのかもしれないですね。
チョコレートと死神という意外な組み合わせ。そして死神がもたらしたのは、口の中でほどける幸せ。 何気ない日常の中に、幸せはあるのだと教えてくれる作品です。 ラストの主人公の「セリフ」の後味が良かったです。
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