第2話





「いただきまーす」

レオとの鍛錬を終えてリーリヤは約束通りディオゴと軍の館内の食堂で夕飯を食べていた。

「鍛錬とはいえレオとやりあってよく食べる元気残ってるよなぁ」

「だってお腹空くじゃん。でもやっぱり強すぎて足払いぐらいしかできなかったや」

これを聞いた瞬間ディオゴがキョトンとしたような表情でリーリヤを見る。

「お前レオの奴に一撃食らわせたのか?」

「一撃...なのかなぁ」

「すげぇなリーリヤ、タトゥー入りですらほとんどあいつに何も出来やしないのに初日から食らわすとはなぁ」


リーリヤは小さい時からレオと鍛錬していたためそれがどれだけすごいことかすらもわかってはいないが最強と呼ばれるレオの力を改めて思い知る。

「でも悔しいものは悔しいよ、だから私も互角にやり合えるくらいにはなりたい」

「あいつと互角にか...」


食事を終えるとタトゥー入りになったためベテラン兵士の部屋が集まるフロアに着くと、ディオゴと別れては指定された自分の部屋の前に立つ。

タトゥー入りとは言えまだリーリヤは新兵の身であるし年齢も若い、そのためアパートのように風呂と簡単なキッチンがついた二人一部屋と聞かされていたため若干ルームメイトが誰なのかワクワクしながら扉を開ける。


「...レオ?」

広い部屋に赤い絨毯、綺麗な部屋にいたのは先程まで鍛錬をしていたレオだった。

「...あぁ、あまり部屋を散らかすなよ」

「部屋が一緒だから女の人と相部屋だと思ってた」

「タトゥー入りに女はお前以外いない。...そこは褒めてやる」

歳は28とまだまだ若めだが最強と言われるくらいの戦績を持つのでてっきりレオは広々とした部屋を一人部屋にしているのかと思っていたがまさか二人でシェアするとは予想外だった。

「レオてっきり一人部屋かと思ってた」

「昨日までここは一人部屋だったさ」

「え、そうなの?」

「...うるさくしないなら構わない」

今まで1人で悠々と使ってきた部屋を邪魔するのはなんだか申し訳ないがレオはリーリヤが保護されてからかなり世話をしてもらってるので2人きりということに気まずさはない。

「レオが一緒でちょっと安心したかも、知らない怖い人なら気まずかったし」

いや、見た目はあまり怖くはないがレオの戦績やストイックすぎる性格を知っている隊員なら充分すぎるくらいにレオは怖いであろう。


「リーリヤ、明日はタトゥー入りになって初の出撃だろ?ベッドは使っていいから早く寝ろ」

とは言われたがベッドは一つしかない。

「レオは?」

「俺は普段からあまりそこのベッドを使っていないから心配いらん」

確かに大きなソファーの上に枕と毛布が置かれているし、ベッドのシーツは皺がなくあまり使用されている様子がない。

レオとは長い付き合いだからとくに遠慮もせずにベッドに横になる。

「レオはまだ寝ないの?」

「俺は少しやることがあってな...うるさくはしないから安心しろ」

レオはタバコを咥えながら書類にペンを走らせている。

「そっか、じゃあなるべく早く寝てね、おやすみ」

「...あぁ」


自分に向かって口出しをする相手がディオゴとリーリヤくらいだ。元からあまり口出しされるのは好きではないが長い付き合いの2人から言われるのは嫌ではないようでレオは結局この日は少ししたら辞めてリーリヤの言う通りに眠ることにした。










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SCAPEGOAT @maaaaple

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