この物語の主人公の職場では、毎年恒例になりつつある行事、バレンタインデー。
チョコの渡し方さえも慣例化しつつあるのです。
そんな職場で、いつもと同じようにチョコをもらった主人公。しかし、いつもとは違ったその贈り物に、様々な悩みが浮かんできます。例えば……、このチョコの真意とか?
いろいろ考えた末に、今度は、ひと月後のお返しにまた悩むのです。
でも、彼女のために、それだけ悩めるのは素敵なこと……。そして、それが、また楽しいのかもしれません。
ただ、楽しいのは妄想が許されているうちだけ……。
さぁ、主人公は、本人を前にして、しっかりとお返しを渡せるのか? その真意を掴めるのか? 一世一代の1日にできるのだろうか……。ドキドキしながら、最終話のページをめくってほしいと思います。
とある会社のとあるグループの上長である水谷さん。
会社行事の一環として、バレンタインデーに同じグループの氷室さんからチョコを貰っ……ん? これ他の社員達よりサイズ大きくない? メーカーも違う?……これ義理じゃないの? 本命、なの?
と、実はこっそり氷室さんが気になっていた水谷さんが、ホワイトデーにどんなお返しを贈るか悶々と悩んで答えを出す短編です。
私が推したいのは水谷さんの思考と行動、それによる結果です。
彼は「自分は特にイケメンでもない普通の男」という自己認識ですがイケメンです。外見ではなく内面がイケメン。それも無自覚イケメン。
確かに氷室さんのことを考えたり直接会話しているときも常に「これどう答えたらいいんだどれが正解だ」と内心結構頭の中で右往左往している(それはそれでとても和む)んですが、よしこれだ!と導き出した言葉と行動がそれはもうピンポイントでビシッと決まってるんですよ! ええそれはもうビシッと! これをイケメンと呼ばず何と言う! 氷室さんのみならず読者も陥落する格好良さ。
もっとも先程述べたように、水谷さん自身は自分の言動がどれだけの威力を発揮しているか自覚は一切ありません。その分直後のちょっと抜けた一言がギャップを生んでまた堪らないんですけどね。
チョコのように甘い『彼女のくれたチョコが、他の人のより大きかった』、是非ご一読ください。
氷室さん視点の『BLACK→WHITE』も必読です!
恋愛下手な水谷さんと、とってもかわいい氷室さん。
組み合わせとしてけして珍しいものではないけど、それを読みやすくときめくものにしてあって、どんどん先が読みたくなりました。
一話ごとの終わり方が素敵で、次はどうなるんだろう?と続きを知りたくなってしまう作品でした。
特に最終話の終わり方が、ほっこりするのに次を期待させるもので、きゅんとしました。
作中、水谷さんが度々自虐をしたり己を卑下したりするシーンがありますが、イケメンは見た目だけじゃない!!!
水谷さんは少女漫画に出てくるヒーロー並みの力を発揮してるよ!!!!
あまーい作品をご所望の方、是非読んでほしいです。
部下からもらったチョコが、周りに配られた義理チョコと比べて大きかった。上司だから? それとも本命? いや、そんなわけないっ。
自分に自信のない男性、水谷さんは、そのチョコをくれた部下の氷室さんが好き。
彼女の前では、「氷室さん可愛いなぁ」とか、ニヤニヤしてしまわないように無表情に接しています。
でも心の中では、そんなクールにはいられない。
ホワイトデーに向けて、義理か本命か、何を渡せばいいのかどう渡せばいいのか、とグルグル思考を巡らせる姿に、ニヤニヤが止まりません。
最終章の甘い盛り上がりは本当、素敵です。
甘い恋の物語が好きな方はぜひ。ほっこりしますよ。