わさびが苦くて、親父は死んだ。

作者 佐都 一

78

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★★★ Excellent!!!

「俺には何もない」と呟いていた父が、家族で寿司を食べた翌日に自殺した。
二十年の時を経て父の呟きと、わさびの苦さを理解した主人公のショートストーリー。


「大きな絶望はない。小さくてゆるやかな失望が積み重なって、それはきっと人間を殺す」
という言葉が、重くのしかかり読み終わった今も尚、胸に残っています。
とても素晴らしい作品です。

★★★ Excellent!!!

亡くなったお父さんが抱えていた『自分には何もない』という思い。
大人になった主人公はある日、父と同じ思いを抱きその気持ちに共感する。
そんな時、食べた寿司のわさびの味は――あの日の父が言ったように苦かった。


この作品はきっと、作者の方に辛いことや悲しいことがあって、自信を無くしていたりした時に書いたんだろうなと、身につまされる思いになりました。

人間生きていれば辛いことや苦しいことがいっぱいあります。確固たる自分を持てない人もいっぱいいます。
僕もそうです。

それでも、時々後ろ向きになってもいいから、少しづつでも前に進んで生きていきたいなと、そんな風に思わされる作品でした。

★★★ Excellent!!!

ワサビを苦いと言った父。その翌日、父は……。


寿司、そして、ワサビという。どちらかというと、楽しい家族の思い出やハレの日といった目出度い記憶と結びつきがちなアイテムを、父の死という重い現実に結び付けたことに、まず驚きました。

しかし、ただ辛いだけで終わらない。読む人によって、悲劇とも。また、希望の物語とも読める短編になっていて、とても面白いと感じました。

★★★ Excellent!!!

コメディか!? と思いつつ読んでみると、何ともいえない後味を感じました。

まさにぴりっと突き刺さるわさびのような味です。

だからといって物語はとてもいいのです、ああ、わかると呟いてしまうほど現代社会を生きた少年が大人になっていく過程が短い文字数の中に語られています。

20年ぶりに食べた寿司が、思い出を蘇らせていく。

これも一つの寿司物語だと実感しました、星3つ進呈させて頂きます。