スイッチを予約してきた。

鋼野タケシ

スイッチを予約してきた

「スイッチを予約してきた!」

 バーンとドアを開けて、先輩は言った。

 ぼくはスマートフォンから顔をあげて、チラリと先輩を見た。

 相原のぞみ先輩は小柄なクセに、やたらと足音がでかい。テンションの高い日はサークル棟の階段を駆け上って来るから、足音でもうわかる。今日も走って来たのだろう。長い黒髪が風でぼさぼさになっている。

 息を切らして、小さな目をきらきらと輝かせて先輩は言う。

「スイッチを予約してきた」

「さっき聞きました」

「はーん? 聞いただって? いや聞いてないね。聞いてたらそんな反応はしないはずだ。いいかい、も一回だけ言うよ。わたしはたった今、ヨドバシでスイッチを予約してきた」

「聞きましたよ。三回目」

「わかってないなジローは! あ、ひょっとしてスイッチって電気をパチパチつけるスイッチだと思ってる? 任天堂の最新のゲーム機だよ?」

「知ってます。っていうか今年に入ってからずっと、先輩その話ばっかじゃないですか」

「じゃあもっと反応してよ! 念願のスイッチを予約して来たんだから」

「ゲームの話なら、ぼくより他の会員にした方が良いと思いますよ」

 ぼくらのサークルはデジタルエンターテイメントコンテンツ研究会。まあ、要するにゲーム系のオタクサークル。しかしぼくだけはゲームを好きではない。大学生になるまでゲームに触れたこともなかった。

「ダメダメ。ジローに話すからいいんじゃん。あのね、知識ゼロの相手にひけらかすのが面白いの。わかる?」

「ウザイのでやめてください」

「誰がやめるか! ゲームやったことない子がサークルに来るななて、フツウ有り得ないんだから」

「まあ、そうでしょうね。ゲームサークルですし」

「というワケで」

 パーンと小気味よい音を立てて、相原先輩がステンレスのテーブルに予約用紙を叩きつけた。

「スイッチを! 予約してきた!」

 四回目。

「ホントはソフトも一緒に予約したかったけど、お年玉じゃ本体分しか払えなくて。バイト探さなくちゃなぁ。そんでまずはボンバーマン買おうかな。ボンバーマンならジローと一緒にできるし」

「ぼくはやりませんけどね」

「バカ言え! ボンバーマンは一緒にやるのが一番楽しいんだから。やろうよ。そんで爆殺しまくって泣かしてやる」

 相原先輩は邪悪な笑いを浮かべている。

「そもそもどーしてゲーム機なんて予約するんですか? 予約しなくたって買えるでしょう」

「甘いよジローは。ドリームキャストもPS3も品薄で大変だった。だいたい、ドラゴンクエスト3を買うために徹夜で並んだ記憶がないからそんな甘いこと言えるんだ」

「ありませんよ。先輩だってないでしょう。ぼくらの生まれる前ですし」

「まあないね。ないけど、でも欲しいゲームは予約するもんだよ」

「ぼくにはわかりませんね」

「あ、そういえばドラクエ3の発売日に学校サボる学生が多くて社会問題になったから、4以降は土曜日発売になったの知ってた?」

「知ってます。何回目ですかその話」

「ジロー相手に知識ひけらかすのが楽しくて」

「ウザイのでやめてください」

「あーあ、ジローもサークルに入りたての頃はいちいち関心してくれてたのになぁ」

「まあ、相手にするだけ無駄って悟りましたから。それよりゲーム機の本体だけって、買ってどうするんですか? 肝心のソフトが面白くなかったら意味ないじゃないですか」

「面白いよ! 面白いに決まってるよ! だって見てよこのラインナップ!」

 相原先輩がスマートフォンの画面をぼくに見せる。

「スプラトゥーン2に、ゼルダの伝説。久々にオープンワールドのマリオもでるし。ゼノブレイド2もでる。スクエニのRPGも出るよ。ドット絵がルドラの秘宝みたいじゃない?」

「ゲームに詳しくないので、何とも……有名なタイトルってことですよね? でも面白いとは限らないじゃないですか。先輩、去年も予約して買ったゲームがクソゲーだクソゲーだって騒いでましたよね」

「当たり前じゃん。ビッグタイトルだから面白いって保証にはならないんだよ。だから買って確かめないと!」

 言ってることが矛盾している。しているが、まあ言うだけ無駄なのだろう。その場の思いつきや勢いで喋る女性だし。

「発売されて評判待ってから買えばいいんじゃないですか? 損せずに済みますよ」

「あーあジローはぜんぜんわかってないなぁ」

 わざとらしく、大きなため息を吐く。そしてしたり顔でぼくを見る。先輩のこういうウザイところが本当にむかつく。

「ジローはさ、幸せがお金で買えたら、買いたいと思う?」

「先輩はヘンな宗教にでもハマったんですか?」

「違うよ! ゲームの話をしてんの。ううん、ゲームだけじゃないよ。人生の真理だよ。わたしは気付いたんだ。その日に必ず幸せが来るってわかってたら、待ってる間も幸せなんだよ。子供の頃、クリスマスは楽しみじゃなかった? サンタさんがプレゼント持ってくるんだって知ってたら、お母さんに怒られたって耐えられたでしょ? プレゼントが何かは、二次的な楽しみ。一番楽しみなのは、サンタさんがプレゼントを持ってくるというイベント! 予約して、発売日に買うって言うのは、そういう自分の気持ちにお金を払うってことなの。わかる?」

「ぜんぜんわかりません」

「だからさぁ、ゲームを予約したら、発売日まで楽しみなんだよ。ふとした瞬間に予約してるゲームのこと考えるでしょ? あと何週間だな。あと何日だなって。ドキドキするじゃん。ワクワクしない? 面白いかな、どうかな、新しいシステムは、キャラクターは、ストーリーはどうなるのかなって、ずっと想ってられる。そりゃ、ぜったい面白いとは限らないし、期待外れで腹が立つこともたまにはあるけど……いやたまにどころか、何度となく……何度もあるけど……煮え湯を飲ませてくれたな……あの3め! この4め!」

 何を思い出しているのか、先輩は一人で唸っている。

「とにかく買うまでの間、想ってられる時間は幸せなの」

 結論のように先輩は言った。

「予約ってのは希望なんだよ。生きるための希望を買うの。よくない、この理屈? わたしの名前ものぞみだし」

「先輩、そのくだらない思考力を勉強に使ったらどうですか?」

「あーあ、ジローにはわからないかぁ」

 相原先輩はおおげさに額を叩いて見せた。こういうところが最高にむかつく。


 ぼくにゲームの趣味はない。ソリティアとかマインスイーパくらいならやったことあるけど。

 母が教師だったから、家は厳しかった。今まで人生のすべてを勉強に捧げて来た。

「過度な娯楽は人を堕落させる」が母の信条で、ゲームなんてもっての他。許された趣味は読書と音楽鑑賞――それもよりによってクラシック。母に趣味まで管理されたおかげで、ぼくはこの世で最も嫌いなものが小説で、二番目がクラシック音楽になった。

 時代錯誤的に徹底した教育を施された挙句、ぼくは大学受験に失敗した。

 大学受験に失敗したぼくに、母は怒りも失意も見せなかった。ただ受験結果が公表された翌日から、失敗をバネにするような勉強メニューを考え出した。ポジティブなのだ、母は。

 つまり、失敗したぼくの気持ちなどどうでもいいと思っている。一日でも早く立ち直れば受験に有利なのは当たり前だ。落ち込んでいるヒマがあれば一歩でも前に進む。それが本人のやり方なら勝手にしろって感じだが、息子のぼくにまで強要されてはたまらない。

 唯々諾々と母に従って来たぼくは初めて,キレた。

 キレたと言っても、大人しい良い子で育ったぼくだ。怒鳴ったり手を上げたりはしなかった。ぼくは翌年、第一志望を蹴ってこっそり受けていた地元の三流大学へ入学した。

 ぼくの初めての、そして計画的な反抗に母は大きなショックを受けていた。父は爆笑していた。

 とにかくぼくはそれまでの人生を捨てて、バカばっかの三流大学でバカなサークルに入って、バカに囲まれて暮らしている。将来のことなんて何も考えず、子供みたいにゲームに熱中しているバカまるだしのサークル。

 そういうバカなみんなと居るのは、とても居心地が良かった。

『来月、相原の誕生日だけどジローは何か考えてる?』

 ピコン、とスマートフォンが震えた。画面に表示されたメッセージを見て、返信する。

『なにも。いま初めて知りましたし。テツ先輩はなにかあげるんですか?』

『おれがあげてどーすんだよ。ジローがあげなきゃ』

 表示されたメッセージを見て、固まる。しばらく待っていると、すぐにテツ先輩からメッセージが届いた。

『ってかジローは相原のこと好きなんだろ?』

 固まる。指が震えた。

 なにを、バカなことを……バレている? まさか。ぼくは優秀なんだ。自分の気持ちを隠すくらい、ワケないさ。誰にも気付かれてるはずがない。

 隣でスマホゲームに熱中する相原先輩をこっそりと見た。何をしているのか、相原先輩は自分の長い前髪が画面に落ちるたびにイラだたしげに髪をかき分ける。

『一応言っとくと本人以外はみんな気付いてるよ』

「相原先輩、ちょっとぼく電話してきます」

 返事を待たずに部室を出た。

 心臓がバクバクと鳴っている。サークル棟を十分に離れたところでテツ先輩に電話をした。

『ジロー? で、誕生日プレゼントだけどどーすんの?』

 電話の向こうから、テツ先輩の呑気な声が聞こえる。

「どーもこーもないでしょう! どういう意味ですか、さっきのメッセージ」

『メッセージって? お前が相原のこと好きだってヤツ?』

「そうですよ! どういう意味ですか? ぼくの弱みを握って……まさか脅迫!?」

『お前って時々バカだよな』

「ぼくは優秀です」

『まあいーけど。いや、おれ今日アキバで買い物するから。プレゼント、選ぶなら付き合おうかなって』

「すぐに行きますから」

 電話を切って、走った。

 電車を乗り継いで、秋葉原の電気街口で降りる。テツ先輩はすぐに見つかった。身長が190を超えているマッチョだから、どこにいてもすぐにわかる。

「お、早ぇな」

「どういうことですかテツ先輩! 先輩が言いふらしてるんですか! 根も葉もないことを!」

「なに怒ってんの?」

「怒ってませんよ! 怒ってるように見えるんですか! 眼科に行ったらどうですか!」

「顔真っ赤にして怒鳴ってたら、怒ってるようにしか見えないけどなぁ」

「くっ……」

 テツ先輩の言い分にも一理ある。まさかぼくが論破されるとは。

「仮に、仮にですよ。仮に百歩譲って、ぼくが誰かに恋慕の情を抱いているとして、だからどうしたって言うんですか。何が目的ですか。脅迫ですか」

「ただ応援してるだけだよ。サークルのかわいい後輩なんだから、応援するのは当然だろ?」

「ぼくにはわかりません。応援なんて必要ないですし」

「ゲーマーの気持ちがわからないジローに、相原が喜ぶプレゼントが渡せるかなぁ」

「わ……渡すなんて言ってないでしょう。それに、渡すとしたってゲームあげればいいじゃないですか。喜びますよ、相原先輩は」

「PCエンジンシャトルとネオジオポケットの区別もつかないやつが、なんのゲームを渡すんだ?」

 テツ先輩の言葉はぼくには暗号だ。何の話をしているのかさっぱりわからない。

「お前は惨劇を知らないから、そんな簡単に言える。誰かにゲームをねだったことがないだろ? おれはある。誕生日プレゼントにドラゴンクエスト8を頼んだら、じいちゃんはドラッグオンドラグーンを買って来たよ。じいちゃんはドラの二文字しか覚えてなかった。区別がつかなかったんだ。まさに惨劇だ。おれは笑うこともできなかった。孫の喜ぶ顔が見たかったじいちゃんは、おれの失意の顔を見て悲しんだ……誤解するなよ、ドラッグオンドラグーンが悪いんじゃない。ただ、子供のおれにはトラウマになった。ゲーム内容と合わせて二重にな。ゲームを知らない人間がゲーマーにプレゼントを渡すってのは、超えなきゃならないハードルがいくつもあるって話だ」

「なんの話だかゼンゼンわかりませんけど、けど、ぼくは下手な失敗はしませんよ!」

 ぼくは優秀なんだ。誕生日プレゼントの一つや二つ、完璧な正解を見つけてみせる。

「言っとくけど、相原ってけっこうモテるからな。他大学のゲーム系サークルとか、相原目当てで交流会とか申し込んで来るやつ多いぞ」

「バカな! なんて低俗なんだ! ぼくはそういう、色恋沙汰に脳みそまで支配されてる連中は軽蔑します!」

「ジローは嫌うかもだけど、相原はどうかな。同じ趣味のゲーマーと意気投合して、そのまま付き合う……なんてことも有り得るんじゃないか?」

「そんなこと……そんなことは!」

 ない。論理的に考えればないが、現実が論理を超越する場合もある。可能性は否定できない。クソ、テツ先輩の理論は完璧だ。悔しいが反論の余地がない。

「だからさ、せっかく誕生日って言うチャンスなんだから。相原のハートを盗んどこうって話よ!」

「まさかテツ先輩が、他人の恋愛事情に首を突っ込む人だとは思いませんでした」

「いやぁ、面白いじゃん。憧れねーか? ギャルゲーの男友達のポジションだよ。影ながら助けるやつ」

 何を言っているのかわからないが、テツ先輩は楽しそうだ。

 止むを得ず、ぼくはテツ先輩と共にプレゼントを買う羽目になった。テツ先輩は数件のゲームショップを回って、紙袋いっぱいのゲームソフトを買っていた。

 ぼくも適当に選んでプレゼントにしようかと思ったが、そのたびにテツ先輩に止められた。

 曰く「相原なら持ってるに決まってる」とか「こんなクソゲー渡したら殴られる」だとか。

「そこまで言うならテツ先輩が選んでくださいよ。そしたらぼくが買って、渡しますから」

「バカ、それじゃ意味ないだろ? お前が真剣に悩んで選ぶから、貰う方もうれしいんじゃないか。もうちょっと真剣に考えてみ。相手の喜びそうなものだよ」

 この筋肉ゴリラめ、色男みたいなこと言いやがって。悪態を吐きたい気持ちをグッとこらえた。勉強一筋だったぼくに女性と交際した経験なんてない。それどころか友人の一人もいない。悔しいが頼れるのはこのゴリラ、もといテツ先輩だけだ。

 考えたって、相原先輩の喜びそうなものはゲームしかない。とはいえぼくにゲームの知識はない。良し悪しがわからない。結局、何を買えばいいのかまるで思いつかなかった。

「ジローはさ、相原のどこに惚れたんだ?」

「なんですか当然」

「相原ってちょっと、性格のクセが強いだろ? 変人って言うか、ジローつかまえて知識ひけらかすのが面白いとか言うヤツだし。面倒くさいと思うぞ」

「ぼくらから見ればサークルのみんなめんどくさいんですが……」

「どういう意味だ?」

 テツ先輩の抗議を無視して、ぼくは考えた。相原先輩の好きなところ。すぐに見つかった。

「顔、ですね」

「お前って時々そういう最低な発言するよな」

「まぁ本当のことですから」

 しかし、いったいどうすれば相原先輩は喜んでくれるのだろう。

 考えても答えが見つからない。そもそも感情の問題だ、答えなんてない。だからイヤなんだ、こういうのは。

 勉強は簡単。考えて答えがないなんて有り得ない。見えていないだけで、必ず正答がある。

 感情の問題は難しい。喜んでくれるもの。相原先輩が喜んでくれるもの。

「相原先輩は、どうすれば……」

 喜んでくれるのだろうか。

 天啓がぼくの頭に浮かんだ。どうすれば相原先輩が喜んでくれるのか、一つだけ方法が浮かんだ。

「テツ先輩、ヨドバシ行きましょう。誕生日プレゼント、思いつきました」

「お? なに買うんだ?」

「そうですね……」

 思い付いたとはいえ、正解とは限らない。ひょっとしたら相原先輩は喜んでくれないかも知れないし、もしかしたら失望させるかも知れない。

 でも。

「相原先輩は、希望とか言ってましたよ」 


 2月の、相原先輩の誕生日。

 相変わらずばーんとやかましい音を立てて、先輩が部室のドアを開けた。

「お、今日はジローだけかぁ。みんなでクソゲーやろうと思って、中古のドリキャス買って来たんだけどな」

 先輩は息を切らしながら、大きなトートバックから白いゲーム機を取り出した。

「モニターってVGAケーブルつなげたっけ? あ、無理じゃん! どーしよう!」

 部室に置いてあるパソコンモニターを見ながら、先輩は悲鳴を上げている。

「相原先輩」

「ん? ちょっと待って。方法考えてるから。中古のテレビ買うか、変換ケーブル探しにアキバか……」

「ぼくもスイッチ、予約してきました」

「うん。そう。ちょっと待って。アマゾンのが安いかな……え!?」

 長い黒髪を翻して、バッと相原先輩が振り返った。

「な……なんて? いまなんて言った?」

「スイッチ予約してきた、って言いました」

「な……な……」

 相原先輩はぷるぷる震えている。

「え? スイッチって電気つけるパチパチするやつ?」

「違います。ゲーム機のです」

 ぼくはカバンの中から予約用紙を取り出して、先輩に見せた。

「ほ、ホントだ! なんで? え、なんで!? だって、ジローはゲームとか興味ないじゃん! なのにゲームサークルに入るような、キミはそういう変人だったじゃないか!」

「変人筆頭の先輩に言われるのは心外ですが……本体だけじゃないんですよ」

 もう一枚、ステンレスのテーブルに置いた。

「ボンバーマン、やりたいって言ってたじゃないですか。これ、先輩への誕生日プレゼントです」

 一枚の予約用紙。プレゼントと言うにはあまりにも地味で、素っ気ない。包装紙もなければリボンも結んでいない。ただの紙。殴り書きのヘタクソな文字で書かれた予約用紙。

 もし意中の女性にプレゼントを渡すとして、ぜったいにそんなものは選ばない。

「一緒にやりましょうよ、ぼくと」

 でも、彼女のことを真剣に考えれば、きっと一番喜んでくれるもの。だからこれでいいんだと思う。

「うん!」

 満開の桜が咲くように、相原先輩は輝くような笑顔を浮かべた。

 まるで新しいオモチャをもらった子供みたいに、顔をくしゃくしゃにして笑う。そう、新しいオモチャをもらった子供だ。無邪気に心から喜んでいる。

 この表情、この顔。好きなものに相対している時の彼女が、ぼくは好きだった。

 喜んでくれて良かった。

 バカにされるかも、引かれるかも、ぜんぜん笑ってくれないかも。不安はたくさんあった。でも喜んでくれるかなって思うと、やっぱりワクワクした。

「楽しみだね!」

 先輩の言っていたことが、少しだけ理解できた。

 相手を想っていられる時間が、きっと一番幸せなんだ。

 

【了】

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スイッチを予約してきた。 鋼野タケシ @haganenotakeshi

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