美しい日本語で紡がれる魂の物語です。
流れるような文章で清らかなこの物語の世界に引き込まれます。
主人公をはじめ、彼女をとりまく周囲の人物のひとりひとりが誰かを想い謎を秘めています。
それらの絡み合った糸のような謎や想いがほどけていくにつれて伝わってくる人を想う強烈な心。
最終章の最終話の最終行を読み終えたときに心に残るもの。
人はこんなにも深く想えるものかと。
人はこんなにも深く愛せるものかと。
本来ある花と月を用いた四字熟語の意味を踏まえつつ
漢字を置き換えて新たな意味を持たせ、物語に添わせる。
その作者の意図たるや圧倒的です。
行間から語りかけてくる作者の熱い想い。
「これ以上のものは書けない」
そこまで作者に言わしめる渾身の物語をぜひ堪能してください。
花と月を纏わせるこれは深い愛の物語。
第三章まで拝読しました。その第三章で作者様は『精神とは人生です。その人が培った経験はどこにもいきません。全て周りの人に受け継がれます』というお言葉を書かれています。私はこのご作品を『人生』だと感じた矢先に目を通したのです。そこで私は『あぁ、つまりこのご作品は作者の精神そのものであり、受け継がれるものなのだ』と。小説という名の精神を覗いているのだと自覚しました。作者様はどのようにお考えか分かりませんが、私はそのように受け止めることができました。
清らかで哲学的なお話、優しさ溢れるミステリー、凛とした花言葉。そのどれもこれもが作者様の人生で精神です。皆さまも少し覗いてみてはいかがでしょうか。
素晴らしい作品でした。
連作短編のような構成をとった、ミステリーと濃密なヒューマンドラマを絡めた非常に読み応えのある物語です。
記憶が一日しかもたない「千月」という女性を主人公に、妹、幼馴染、死に別れた恋人などが、重厚なドラマを展開していきます。各物語はそれぞれ独立したミステリー仕立てとなっており、バトンをつなぐようにキーとなるキャラクターの物語が語られていきます。さらに物語全体を通して千月の抱えた秘密がミステリーとして存在し、複雑ながらも読みごたえのある構造になっています。
構成の上手さはもちろんですが、奥行きのあるキャラクター造形、読みやすい文章、過去と未来を自由に行き来する軽やかな語り口、すべてが味わい深い物語です。
やがて明らかになる千月の秘密にはとても驚き、また深い感動を呼ぶものでした。ぜひぜひ最後までお読みいただきたいと思いました。
とにかく著者渾身の一作、文句なしに楽しいし、感動するし、またに切なくなったりもしますが、ぜひ読んでみてください!
とある『秘密』を持つ葬儀社で働く主人公が、弔いを通じ、様々な人と出会い、謎を解いていくという流れです。平明にして引力のある文章、リアリティある人物造形と会話、ストーリーを引っ張っていく謎と小道具の存在。そして、花と花言葉が彩りを添える作品世界――。読み始めると、時間を忘れて読み耽ってしまう作品です。第一章PART11で明らかになる『花弔封月』の意味、ぜひ読んで感じてほしいと思います。
読了したので、レビューを加筆します。
それぞれの章で語られる登場人物の想いと過去、そして彩りを添える花と花言葉。一章一章に魂がこもっていると感じました。そして、作者さんの生と死への真摯な想いが伝わってきます。ラストに向けてそれぞれの想いが語られ、ストーリーが集約していく構成には特に心を動かされました。ぜひラストまで読んでほしい作品です。美しくて切ない、心に響き、心に残る作品でした。