読了してから勧める登場人物紹介


 まえがき。

 ネタバレ、設定等あるので、物語を一読した方が読んだ方がいいと思われる。




【人間】



✜ リア・アウェンミュラー ✜


 空中都市唯一の学校『ブリュンヒルデ』に通う高校一年生。16歳。ドイツ人で、金糸の髪と青い瞳をしている。お年頃なので髪型は毎日変えている。

 空中都市『エリュシオン』にいるのは選ばれた人間だけだと自負しており、そのわりに気楽すぎる同学年とは気が合わず自ら距離を取っている。


 ある日、ドラゴンの卵を見つけ、それを保護しようと動いたことがきっかけで、ドラゴンと人が織り成す日常に足を踏み入れることになる。



✜ 柳井やないわたる ✜


 ブリュンヒルデに通う大学生。もうすぐ20歳。日本人で、寝癖でぼさぼさの黒い髪、冴えない黒縁眼鏡をしていることから『ダサい柳井』と同年代には馬鹿にされている。

 両親と兄は人類のためになる仕事をしているが、自分はそのおこぼれをちょうだいしているだけの役立たずだと思っているので、いつも自信がなさそうにもそもそ喋り、猫背気味に歩く。


 ドラゴンのことが好きで、ドラゴンという生き物を肯定的に見つめる『ドラゴン学』の授業が好き。

 リアが日常に入り込んできてからは、彼女の言動に振り回されつつも、悪い気はしていないようだ。



✜ 葉山はやまかいり ✜


 柳井が受講している『ドラゴン学』の先生。たぶん28歳。

 教師として当たり障りのない茶髪で、パーマ+外ハネの髪型をしているが、半分は寝癖で半分はワックスの効果らしい。基本的に外見にはあまり頓着しないようで、教師として怒られない程度ならなんでもいいだろ、と思っている。

 後述する葉山こう、ろいろとは十年来の仲。


 右目が義眼であり、高性能なコンピューターとなっている。

 このコンピューターはろいろと同期することが可能で、ろいろが生物兵器として改造されたことを踏まえて上層部の人間により『保険』としてかいりに施されたもので、有事のさいはかいり自身に危険が及ぶものとなっている。



✜ 吉岡よしおかまこと ✜


 ストレス性の円形脱毛症に悩んでいる、ドラゴン審議会のメンバー。ドラゴン肯定派であるため審議会ではぞんざいな扱いをされている三十代前半の苦労性な人。また、審議会とかいり達ドラゴン側とを繋ぐパイプ役でもある。

 かつてろいろを捕らえ生物兵器への禁忌の道を歩んだ研究機関の出身。

 過去の己の行いを悔いると同時に、ドラゴンを庇い志半ばで死んでいった親友とドラゴンへの贖罪しょくざいを掲げ、今日を生きている。


 吉岡自身に特別な能力はないが、ドラゴンの生体研究機関で働いていたこともあり、そちらの知識は忘れたくとも忘れられないものとして彼の中に刻み込まれている。

 そのためか、生物兵器となってしまったろいろがかいりとともに元気に過ごしている姿を見ることが、彼のささやかな癒しとなっているようだ。



✜ エディ・シェフィールド ✜


 ブリュンヒルデに通う高校二年生、17歳。イギリス人で、ブロンドヘアと緑の瞳を持つ。エリュシオンの建設に多大な投資をした資産家の一人息子で、上流階級層にある一軒家に住んでいる。

 育った環境のせいか逆境を知らず、己の思いのままになる生活を送ってきたため、努力もあまりしたことがない。

 そんな彼にとって思い通りにいかない壁として立ち塞がることになったのがリア・アウェンミュラーであり、柳井航である。

 のちに彼は『蛇』と呼ばれる存在に初めて抱いた心の闇を覗かれ、大きな過ちを犯してしまう。


 蛇との事態が決着したあとは軍の更生施設に入り、社会復帰を目指している。

 こんな自分のことも見捨てなかったかいりを心の拠り所にしている節があり、一週間に一度の面会を心待ちにしながら、厳しい生活指導のもと日々を送っている。



✜ 櫛名田くしなだいのり ✜


 エリュシオンに行くことのできなかった日本人が瘴気しょうきから逃げるために建設した施設、『ファスィリティ・フジ』に暮らしていた16歳の少女。双子の姉にあたる。

 色白で黒くて長い髪をしており、日本美人という言葉を連想させる整った容姿をしているが、好奇心旺盛で活発な性格。


 最近になって『クシナダ』と自分を呼ぶ声に悩まされ、その出処が施設にある塚ではないかと思った彼女は、弟とともに塚の祀られている場所へ赴く。何気なく伸ばした指先が石に触れたことによって、祈は『八岐大蛇ヤマタノオロチ』を目覚めさせてしまう。

 富士が噴火し、暮らしていた施設や両親をなくした彼女だが、エリュシオンで前を向いて生きていこうと決めて、まずは英語を習得しようとしているらしい。



✜ 櫛名田幸人ゆきと ✜


 上述した祈の弟。姉と同じく整った容姿をしている16歳。

 彼は姉とは違い常に冷静沈着で、物事を冷めた視線で見つめている。

 家族として以上に異性として姉の祈を想っており、彼の思考の真ん中には常に祈がいる。


 いつかファスィリティ・フジが機能しなくなった日のことを考え、常に交渉材料のメモリースティックを持ち歩くなど、用意周到である。

 また、彼は大学課程をパスできるほど頭がいいので、オメテオトルに新しく設立される瘴気研究所へ採用の打診がされているというまことしやかな噂がある。




【ドラゴン】



✜ 葉山紅(紅竜こうりゅう) ✜


 まだ若いが力のあるドラゴンで、炎を操ることに長けているあかい鱗のドラゴン。立派な四肢と大きな翼を持つ。

 賢く、人語を理解し、人の文化に興味を持っている。

 かつて葉山家にいないはずの『妹』として入り込んだことがきっかけとなり、今もかいりを家族としてそれなりに思って行動している。

 人間に化けているときは少女の姿をしており、燃えるように赤い髪をしている。瞳は基本的に日本人色だが、ドラゴンの力を見せるときはあかく輝く。


 基本的に趣味に没頭しているが、有事のさいはやるべきことをやる。非情かつ冷徹な判断をくだすこともある。また、ドラゴンらしく誇り高い。

 好きなものと嫌いなもの、選り好みが激しいが、根は真面目なドラゴンである。



✜ ろいろ ✜


 本来なら雲の中で暮らす『雷竜らいりゅう』の子供。

 見た目はツルツルとしたガラスのような黒い鱗に、頭の左右にはつのが生えている。瞳は特殊な虹彩をしており、虹色のように見える。

 その昔、誤って地上に落ちたさいに人間に捕らわれ、ドラゴンの生体を研究する機関でからだといわず頭の中までいじられ『生物兵器』と化した。

 ある人物の手により用済みの処分の道から逃れ、逃げた先でかいりに出会い、今日まで時間をともにしている。そのため、かいりと顔見知りからは逃げないが、基本的には臆病で人間が怖いと思っている。


 過去に頭の中までいじられたせいでまともな思考能力は残っていない。

 ろいろはあくまで動物的に行動する、半機械化したドラゴンである。

 人間に化けるときはショートカットの黒髪の少女になる。かいりが『人になってみろ』と手短にあった写真を見せたところ、この少女が写っており、この姿を憶えてしまったらしい。



✜ おう応龍おうりゅう) ✜


 頬髭のような長い触角、雌鹿のようなつの、羽のような尾、大きな鱗を持つドラゴン。齢五百を数えた辺りで背に翼が生え応龍となった龍で、かなりの年長者。

 もともと人間が好きで、困っている人間に手を貸したりしていたため、歴史や言い伝えなどにもちらりと登場したりする。

 おじいちゃん龍であり、喋り方も年寄りのものだが、人型のときはなぜか若者である。

 癖の強い新緑の髪をしており、ピアスをたくさんつけている。ドラゴンの力を行使するときは金色に光り輝く。


 應の鱗はエリュシオンを守る防護壁に加工されて施されており、これにより人の都市はここまで存続してこられた。そのことを知る者は少ない。



✜ 青玄せいげん ✜


 應の友であったラベンダードラゴンが遺した卵から孵ったドラゴンの子供。

 彼女が信頼した人間の手に預けられ、無事に孵化し、人の手によって育てられた。そのためか、彼はまだ子供だが、どんなときでも人の姿を保っている。人間時は深い青の髪に、育て親と同じ日本人色の瞳。

 あることがきっかけで育ての親をなくし、彼らの家を訪ねて異変に気付いた應が嫌がる青玄を無理矢理エリュシオンに連れてきた。

 何かと世話を焼かれて鬱陶しがっているが、應の力や智識ちしきの深さには素直に感心している。


 まだ5歳の子供だが、精一杯背伸びして應のもとで智識と力の使い方を学んでいる。

 早く大人になって、彼にはどうしてもやりたいことがあるらしい。



✜ ハルモニア(愛称ハル) ✜


 肉体がなく、他者に精神を宿すことで生きてきた蛇と呼ばれる存在。その力からドラゴンだと言われているが、詳細は不明であり、当人もよく分かっていない。

 過去に宿主やどぬしとしていた少女が酷い仕打ちを受けたことから、生物そのものに絶望し、その心の闇に取りいては破滅へと追いやっていた。

 地上の生物が死に絶える前に空中都市にたどり着き、エディ・シェフィールドを手始めに都市の生物を絶望の静けさに叩き落とそうと目論んでいたが、かいりの存在がその心をすくい上げる。


 かつての少女とよく似た夢を抱くかいりに惹かれた蛇は、ハルモニアと名付けられ、体を与えられ、現在かいりの部屋に居座っている。

 應の秘蔵品だというマネキンのような人形に宿ると思った姿を得られるらしく、最近はもっぱらエディの姿をしている。



✜ 八岐大蛇(ホオズキ) ✜


 かつて八つの頭と八つの尾を一つの体で共有する怪物としてこの世に存在していた八岐大蛇。その頭の一つが彼であり、クシナダヒメには『ホオズキ』と名付けられそう呼ばれていた。

 クシナダと他愛のない話をすることだけが彼の喜びであり、彼の生であった。

 しかし、人間によって無実の罪を被せられ体よく殺されてしまったホオズキは、生涯を悲しそうに過ごしたクシナダのことを想い続け、ついに現世によみがえる。




【???】



✜ ユピテル ✜


 人類の英知の結晶たる人工頭脳を搭載した少女型コンピューター。ユピテルとは、ローマ神話の主神の名である。

 淡い桜色の髪、病弱なほどの白い肌で、車椅子に座っている。また、常に演算予測しているきらめく瞳には隠し事は通用しないと言われている。

 最近になって正式稼働を開始したユピテルは、『人類のためになる』最良の道を模索している最中で、彼女の中で『ドラゴン』という生物にどのような判断がくだるのか、誰もが注目している。


 将来的にエリュシオンの運営を任せられるだろうとされている少女の瞳は、今日も輝き、常に人類を見据えている。




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凋落のエリュシオン アリス・アザレア @aliceazalea

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