第13話 あとがき

自己愛と別れて一年ほどは、自分にも自己愛のような所があるのではないか、楽しい事を自慢げに語っていないか、そのせいで嫌な思いをしている人がいないか、今日会ったあの人の物の言い方も自己愛っぽくなかったか?と過敏に考えてしまうなど、トラウマが残りました。自分の意見を諦めて、自己愛の決定に従っていた時期も長かったので、しばらくは自分のしたい事が解らなくなっていたりもしました。

今ではほとんど治っていますが、心の弱い人だとカウンセリング案件になるようです。


一番怖いのは、自己愛の鬼畜の所業を「自分の妄想ではないか」と思ってしまうことです。メモを取ってください。場合によっては会話を録音しましょう。妄想が毎回、顔を合わせる度に嫌な思いをさせてくるわけがありません。信じられないけれど、人間とはもはや呼べない、道徳心の無い生き物はいるのです。


ここまで書いておいて信じられないかもしれませんが、私は自己愛の、自己愛性人格障害が発症していない時の人間としての人格は本当に好きでした。もう親しい友達はそろそろ増えないだろうと思っていたところに、こんなに楽しい友達ができて最高!と何度も思いました。だからあの素敵な友達の人格と、自己愛性人格障害に侵された時の人格を同じ人として捉えたくありません。私の友達は死んだのだと思ってようやく諦めがついたくらいです。自己愛性人格障害は、親の間違った教育で後天的に発生するそうです。完璧な子供でなければ愛情をあげないと脅される。常に親の顔色を窺っていないと、捨てられて死んでしまうのではないかという恐怖。これらが人格を歪ませてしまうのだといいます。後天的な要因が、私の友達を一人殺したのです。

教育をする親も本当に大変だと思います。しかし私自身、親元を離れるタイミングを誤っていたら十分自己愛性人格障害になっていた可能性がありました。なので余計色々と調べたのです。知れば知るほど、可哀想としか言いようがありません。しかし可哀想だからといって、サンドバッグになってあげる必要はありません。それは共依存です。悲しいけれど、現在は自己愛を治すことは出来ないそうです。自己愛が自分が自己愛である事を認めて、人に対してしてきた事を反省できるようになると、鬱になってしまうようです。自分が思った通りに行動、発言すると、どんどん嫌われて一人になっていく。そんなことを自覚してしまったら、私でも鬱になります。

いつか、自己愛脳のみをどうにか切り離す事が可能になればと思います。


今回ここに全てのメモをまとめたことで、ようやく気持ちの整理がつきました。

これまでは、自己愛に関連する何かを見かけると嫌な思い出が甦り、しばらくイライラしていました。それは自己愛の悪事が私達以外に知られる事もなく、陰で小馬鹿にしていた人達と未だに交流があるのを知るのも苦痛だからだと思います。読んでお解りいただけたかと思いますが、自己愛の悪事を説明するにはその背景や前後の解説も必要で、こんな事を長々と必死に話していたら、こちらの方がおかしい人物のようになってしまいます。ですから実際に陰で小馬鹿にされている人達に伝えるのは不可能です。これがどうにも腑に落ちず、わだかまりとして残っていました。

今回、このように不特定多数の全世界に記録を晒す事で、かなり気持ちがスッキリしました。途中で何度も「早くまとめ終えてしまいたい」と思い、終わらせた今では、やりきった充実感の方が大きいです。

全く同じ行動を取る別な個体に人生を荒らされている人も多いようなので、この記録がお役に立てれば幸いです。


繰り返しになりますが、

「こんな事を言う、する人間がいるはずはない」

「自分の考えすぎかも」

「気のせいだったかも」

これらの思考停止が身を滅ぼす事があります。

悪人はいます。

自分に自信が無くなったら、とにかくメモを取り続けてください。普通の人間相手でも、ケンカになったり、意見のぶつかり合いは必ずあります。しかし自己愛に関するメモは、そんなレベルを遥かに超える内容で、大量のものになると思います。それを物量として見る事で、目を覚ますことができます。

自己愛を庇う人がいたら、その人の事も諦めましょう。その人にうまい具合に押しつけて逃げるしかありません。すると後から「酷い目に遭った!」と逃げ出してきて合流してくれる可能性もあります。


これをまとめている途中で、自己愛と新たに約束をして、遊びに行く夢を見ました。夢の中の自己愛は自己愛ではなく、私が好きだった友人のCちゃんでした。「よかった!治ったんだね!」

本心からそう思いました。映画やドラマなら、こちらがエンディングであるべきです。

しかし現実は残酷です。しばらく前、SNSでうっかり現在の自己愛の様子が見えてしまった事があります。うるさく注意する私達から解き放たれた自己愛は、自分をモデルか何かと混同しているようでした。悪化している。恐ろしくなって、二度と見るまいと、SNSのガードも強めました。


自己愛は幸せだと思います。自分が作った王国で、都合の悪いことはジッと通り過ぎるのを待っていればいい。

でも私は自己愛には絶対になりたくありません。反面教師にしたいと思います。

私は人間なので。



この文章内にある、医学的な雰囲気のあれこれは、私がネット上で聞きかじっただけのものです。根拠はありませんし、変わっていく可能性もあります。特に、自己愛性人格障害が治らない、という点は本当に私の勘違いや、今後の医学の発展で覆ることであって欲しいと切に願います。

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ヒトモドキ 自己愛性人格障害の被害記録 眼鏡フェチ @megane69

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