ポンポンと軽快に進む日常の一コマ。そのやりとりが実に面白い作品でした。コメディは特に作家側のセンスが物をいうものだと思うのですが、この作家さんのコメディセンスは抜群だと思います。とにかく読んでいて飽きない会話のリズムの良さというか、言葉選びについつい先を読まされました。ああ、こういう形のSFなんだなと思って読み進めたぼくはドツボにはまりました。ラストで全部引っくり返された。そう、伏線読み切れていなかったわけですよね。軽快に進むから、それを楽しんでいただけの自分に、ラストでダメだししましたから。それくらい面白い作品でしたし、しっかりSFでした。
とにかくラストまで気を抜くことなかれ!!な作品。さくっと読めるその先に待ち受ける衝撃に目を見張れ!!
超絶何言ってんだ。すいません。本当にこれは申し訳ない。驚きのクソキャッチコピーを書いてしまった。違うんです。聞いてください。
ヘミングウェイに「何を見ても何かを思い出す」っていうタイトルのお話があって、これなんかいいタイトルじゃあないですか。文学的っていうか。いまさらヘミングウェイでネタバレ、ってないと思うし、昔読んだだけなので内容かなり忘れているので、実際とは違う話である可能性も結構あるのでまあいいかってんで、オチというか中身を言っちゃいますけど、これ、息子がなんかの作品を盗作して学校に出すのを、「これ盗作なんちゃうんか」とヘミングウェイが聞いたところ、息子が「パパはきっと、何を見ても何かを思い出すんだよ」って言い訳する話なんですね。おい、そのセリフなのかよ。文学っぽいなんか、こう、なんかさあ、そういうやつだと期待するじゃん……。しかもそういう言い方をすると「盗作」だと言ってるみたいになる。違うんだ。
ただね、ものすごくハルヒエッセンスがあるんですよ。「文芸部部長(これは本来は長門有希であるが)」が「隣のSF研」の「眼鏡のインテリに挑発されて会誌を作る」 ほらね? 何がほらねだ。やめろそのドヤ顔を。
しかも語り部はハル君ですよ(これはハルヒを差し引いても本編内容に沿った非常にいい名づけだと思いますね)。これは何かを思い出してしまってもしょうがない。あの、オリジナリティは高いんですよ。俺が勝手に思い出しているだけで。
ただ違うのは団員、じゃないや、部員の方がボケだということで、そのツッコミに回る部長が最高にいいんですよね。これがキャッチコピーの真相なわけですが、このキャッチコピーが届く人間はどれくらいいるんでしょうかね。でもハルヒ層には結構きゅんとくるフレーズだと思うんで、すいません、お許しください。面白かったです。このフォーマットで続きが読みたいな~~! 完結はきれいにしてるんですけども。