オトコを燃やせ。鉄騎と硝煙のハードボイルド。

渋く、鋭く、そして滾る、これはオトコの刻む痕。
泥臭く、血なまぐさく、鈍色の鉄騎が駆け抜けます。

しかし。
鉄の火花を散らすその戦いは英雄より熱く、
硝煙の匂うその臨場感は魔法より鮮やかに、
胸へとその存在を刻んでやみません。

かと思えば。
泥臭い世界で生きるヒトの息吹。
生き馬の目を抜く中に垣間見える心の温度。
死と暴虐に近しいからこそ浮き上がる生活感。
そのコントラストは渋い色を伴って読む者に痕を残します。

硝煙の匂い。鉄の火花。
そこを地獄と人の言う。
渦巻く闘争、凝る謀略、堕ちてなおヒトの業が咲く。
されどそこでヒトは生き、あまつさえ情を投げ交わす。
死の陰の生、生在るがゆえの死。
血は人の証か、死の徴か。
『機神神話』
撃ち交わす鉄に血が滾る。

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機神神話

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