魔界と人間界の行き来は長く封印されてきました。
千年振りに鬼の精鋭部隊が人間界へ進軍してくるところから、物語は始まります。
そこは遠い過去に「桃太郎」とその家来に、多くの鬼が殺戮された忌まわしい伝説の残る鬼ヶ島でした。
若い鬼たちは、誰も見たことの無い「人間」に怯えつつも、勇気を奮って任務を果たそうとします。
近未来SFテイストのダークファンタジーですが、戦場の青春を描いた映画を観ているようでした。
任務にいそしむ若き兵士の鬼たちの姿が、ごく普通の若者の青春群像としてユーモラスに描かれますが、得体の知れない敵と遭遇する緊迫感溢れるシーンの恐怖感とのギャップに飲まれます。
登場キャラクターがほとんど鬼という異様な世界を、丁寧に構築していく描写が素晴らしかったです。
お互いの実像を知らない鬼と人間が、共存の可能性を探ろうともせずに悲惨な戦争を繰り返す現代の世界情勢そのもののようでした。
このラストの切なさは、忘れられないと思います。
最新話(23話)まで拝読しました。
現代ファンタジージャンルということになっていますが、物語全体に漂うノリは異世界探索系SF?のようなテイストがある作品ですね。
古い「桃太郎」の御伽噺によって語られてきた伝承を手掛かりにし、それまで魔界に生息していた鬼たちが、異界にあたる1000年後の日本(!)へ乗り込むことになります。
さて、しかしたどり着いた先で彼らが見たものは……
というのが大まかなストーリー。
未知の未来世界の謎を徐々に解明していく感覚には、探検小説的な面白さがギュッと詰まっています。
淡々としたキャラクター(鬼)たちのやり取りも、むしろ緊張感があって良好ですね。
なんの逸話かはタイトルでお分かりかと思います。
発想に脱帽! そして反対側から未来を見るとの多角的視点で綴られると、「ああ、そうだったのか!」との知識欲まで満たされてしまうという……。
また画策する鬼たちがやたらにクールで格好良く見えるは、筆力でしょうか。うん、鬼さんたちもこんなに頑張ってるんだ! というような。
悪役のはずの鬼を見守る日が来るなんて思いもしなかった。
新たな極地を拓くと思います。
こういう発想の物語こそ、現代には必要な愕きなのではないでしょうか?と思ったので、早々にご紹介レビューさせていただきました。
是非めくってみてください。知っている逸話だからこそ、新鮮味が感じられると思います(*^^*)
続きを楽しみにしております。。