人と留人。命の尊厳を考えさせられる美しいホラー

ゾンビの出てくる小説で感動する……なんて、今まで考えたこともありませんでした。
人々の暮らしの中に、日ごろから存在する動き回り毒をまき散らす死者、『留人』。
それを正常な死者に戻す仕事を生業にしている老漢、恐山。
彼が暮らす限界集落を脅かす、脈絡もなく現れた留人の群れ。
恐怖と覚悟に彩られた戦いが始まります。

限界集落に暮らす人々の様子を物寂しくも生き生きと描き出しています。
寂しさと人々の息遣いが迫ってくる筆致には、感動を覚えずにはいられません。
中編から長編に再編集とのことですが、内容が薄くなるどころか、よりみっしりと重厚さを増しています。

ご一読を強くお勧めします。ホラーに対する見方が変わる……かもしれない一作ですよ。

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