第4話
左から書き連ねた名前に数字をふっていく。
①ヘンデル ②バッハ ③ハイドン ④モーツァルト ⑤ベートーベン
⑥シューベルト ⑦メンデルスゾーン ⑧ショパン ⑨シューマン
⑩ワーグナー ⑪ブラームス ⑫ムソルグスキー ⑬チャイコフスキー
⑭ドヴォルザーク ⑮グリーク
それからカードの数字をもう一度見る。
『 10-1、5-2、9-1、4-6
1-4、8-3、14-3、11-2
15-5、3-3、7-1 』
最初は10-1だから⑩の一文字目、”ワ”。次が5-2で⑤の二文字目、”-”。三番目は9-1で⑨の一文字目、”シ”。
その要領で文字を書きだしてみる。
ワ、-、シ、ト、ル、パ、ォ、ラ、……繋がらないな。後で並べ替えるのかとも思ったけど、⑮に五文字目がない。
うん? 違ったか?
腕組みして黒板のおじさんたちの名前を睨みつける。
それからもう一度カードの指示を見る。
『 Please ask southern uncles from left. 』
あ、そうか。
わざわざ英語で指示出してるんだもんな。
スマホでスペルをチェックしながら黒板の文字を書き直す。
①Handel ②Bach ③Haydn ④Mozart ⑤Beethoven ⑥Schubert
⑦Mendelssohn ⑧Chopin ⑨Schumann ⑩Wagner ⑪Brahms ⑫Musorgsky ⑬Tchaikovsky ⑭Dvorak ⑮Grieg
これでさっきと同じ要領で文字を抜き出す。
10ー1がW、5-2がE、9-1がS……。
WEST DOOR GYM
よっしゃー! 体育館の西扉!
思わずガッツポーズをして、ふと我に返る。
は。なに真剣になって解いてんだか。一人でやってて虚しくなる。だけどここまでやって放り出せるか! こうなったら最後まで行くぞ!
黒板の文字を消して体育館へ足を向ける。
だけどこれで親父は消えたな。
この際、問題作成者と作成の際の情報提供者は放っておこう。今問題なのは、現在の差出人だ。このカードを作った当時の思惑がなんであれ、今俺を振り回しているのは差出人なんだから。
そう考えると親父は消去される。カードを何枚も置くために校内を大人がうろうろしてたらあやしまれる。そんな不審者と間違われるようなことはやらないだろう。まぁもともと親父は違うとは思ってたけど。
でも姉貴たちなら……女性はうろついてもさして不審者には見られにくい。しかもあの二人はここの卒業生。まだ却下はできないな。社会人の香織は仕事休んでまでしないだろうとは思うけど。大学生の沙織は悪戯は好きだ。ん~、でもイブにこんなことする意味がわからない。二人ともデートのはずだしなぁ。
まさかふられたのか? なんて言ったらどつかれそうだな。……まぁ決定的な消去ができないから保留にしておこう。
克己も他校生だし、違う可能性が高くなったな。あいつがかんでるとすれば、里奈と共謀して、かな。
体育館の西扉は普段使われていない。内側は部活してる奴らがいっぱいいるが、外側はグランドの反対側になるから人通りはほとんどない。となると外の可能性の方が高いな。
ぐるりと回りこんでそこへ行く。今回も人影なし。一体どこがゴールなんだ? 人がいないってことはまたカードがどっかに……きょろりと見回す。
ああ、あった。
廂に貼りつけてあるそれをぺりっと剥がす。
『 狸と狐、長いのは参るっしょ
かたくよむたどうのた ぽったぷのうたら 』
は~ん。これは楽勝。
四枚目のカードをポケットにしまい、次の目的地に向かう。
さて、残り四人のうち差出人は誰だ?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます