最高のロッケンロールが鳴り響く話ですぜ!

 いやマジで弱いんだ俺はこういうのに。こういうのでいいんだ。世界はそういう奇跡で満ちていりゃあいいんだよ。なあそうだろ。

 というのは、10割「ベタ」な話というのは「ベタだなあ」と思うわけで、それで半笑いになって終わるわけですね。
 じゃあってんで、10割奇想天外なことをやられると、まあそれはそれでアリなんですけど、ちょっと凡人にはついていけない。
 9:1とか8:2、というのが良い塩梅になるわけです。

 で俺の感覚で言うと、この話はその塩梅がパーフェクトで、こういうパーフェクトな塩梅に俺は弱いということです。どこが「1」または「2」かというと、一つは……の正体で、これは完全に全ての手がかりがフェアに示されていて、にもかかわらず気づけなかったことに後で「ふぉう!」ってなるやつ。心地よいアレのやつ。
 もう一つはミュージックの存在だ。みんなも読みながら好きなロッケンロールを流すといいと思う。ロッケンロールが流れていて、ビジュアルがあって、まあ「それ」のネーミングだけ少々どうかと思わなくはないが、誰かこれ動画で作ってくんないっすかね~! というくらいそのシーンの情景がいい。映画館で見たら心の中で手を振るやつ。上下にね。スゥイングするやつだ。良い。

 クリスマスに奇跡が起こることに辟易する必要なんてない。起こればいいじゃん、奇跡。素直にそういう風に思える話です。良かった。

その他のおすすめレビュー

雅島貢@107kgさんの他のおすすめレビュー275