この作品を読む前に神戸ポートタワーを調べてみました。夜にライトアップされるとあんなにも綺麗なのですねっ。長細い太鼓のようだなと思ったら、実際にそういう記述がありました(*^^*) しかも鉄塔の美女とはセンスもいいですねー。
さて物語ですが、そのポートタワーの喫茶店がお気に入りの『私』の視点で進むのですが、まずは神戸の街並みの描写が続きます。
夕方が好きということで、『夕焼けの余韻を残したグラデーションのかかった空に星が――』という描写もありますが、私の脳裏に浮かんだその光景はとてもきれいなものでした。実際の光景はその百倍は素敵なのでしょうね。
中盤から『私』の過去が綴られるのですが、その途中で偶然にも想い人と遭遇。そして――。
どうやら『街コン』と恋物語はとても相性がいいようです。そしてタイトル通り胸キュンする作品でもあります。
皆さまも是非ご一読を(⌒∇⌒)
神戸のポートタワーに回転喫茶店があることを知りませんでした。
作者様の丁寧な描写を辿りながら、海と山が続く神戸の風景をゆっくりぐるりと目に浮かべることができました。
主人公の彼女も、そんなぐるりとまわる風景を眺めながら、学生時代の恋の思い出をめぐらせます。
神戸の名所やイベントが彼女の思い出とともに沢山登場し、やっぱり神戸って魅力的。(街コン作品としての効果も素晴らしい!)
夕日がその風景に寂しくも優しい色を与えていることが、彼女の失った恋への思いと重なります。
夕焼け色に染まる景色は、徐々に宝石を散りばめたような神戸の夜景へ変わっていく。
彼女の思いは輝く夜景へ変わるのか…物語の中でお楽しみください。
夕方の景色が郷愁を誘い、温かい懐かしさとほんのりと寒い寂寥感の両方が感じられる作品でした。
冒頭で語られる、喫茶室から眺める景色がありありと浮かんできます。
そしてそれに続く、動いていく景色が徐々に夕日に色づき、暗くなって、点々と灯る明かりの美しい夜景へ変わっていく姿が鮮明に思い描かれて、語り手の郷愁と寄り添うことができました。
そういう景色のセピア色の気配が、自然と彼との思い出へと繋がっていきます。
ノスタルジックな雰囲気に包まれたまま迎えたラストも素敵でした。
作者の方の描写力が、夕焼けの持つ寂しさを伴った郷愁をしっかりととらえた作品です。