作品とは真逆に近い季節に読むことになってしまいましたが、描写が丁寧で、雪景色が目に浮かぶようでした。また、ひとこと紹介に引用させていただいた一文に、とても共感しました。本当に、どうしてわずらわしくなってしまうのでしょう。大人になるにつれて、現実を見てしまうということでしょうか?雪を眺めていると、いろいろなことに思いを馳せてしまいますよね。冬はもちろん、あえて夏に読むのもおすすめできる、短編エッセイです。
今この寒空を見上げ、降る雪を見上げ、かじかむ手を擦り合わせ、吐く息の白さに心を寄せて、今まさに、この瞬間に読んでもらいたい物語ですと言いたい。山奥の山荘で彼は何を思っていたのだろう。どう過ごしていたのだろう。そんなことをきっと一緒に考えたくなる、そんな物語です。雪は嫌い。雪の日は嫌い。されど雪国にはなければならないものなんですね。自然に抱かれて生きているぼくらなのだから。