「駅」と「音楽」が、二人の恋を鮮やかに彩る

短編集のようでいて、散りばめられたエピソードを辿れば二人の恋物語になる。儚げに滲んだ輪郭が独特の情緒を感じさせる、そんな雰囲気のある作品です。
“あの「駅」の話”だけに、彼らの再会、再々会には駅がからむのですが、それと同じかそれ以上に印象的なのが、それぞれのシーンに音楽が寄り添っていることです。
大学生活を謳歌していたとき、彼と初めての夜を過ごしたとき、彼が別れを決めたとき、予期せぬ再会に彼女が戸惑ったとき──。
彼らの思いとシンクロする音楽を想像しながら物語を辿れば、彼らの恋がより鮮やかな色をもって目の前に広がることでしょう。

その他のおすすめレビュー

侘助ヒマリさんの他のおすすめレビュー479