すべては今につながっている。

どうなることだろうかと追い続けた物語が終結した今、知らずのうちに大きな溜息が出ました。
それはもう大きな、感嘆の溜息です。

この物語には、厳しさや正しさ、そして優しさの渦巻く社会の中での人と人が丁寧に描かれています。人は否応にも、他人と関わらずには生きていけない。それは辛く、美しく、哀しく、嬉しいことなのだと、本作品を読んで痛感しました。読んでいて込み上げてくる感情は、一種類ではありません。
また、現在の「僕」が過去の「ぼく」の時代を振り返るという形の文章は妙技です。これがまた、作品の完成度合いを二倍三倍にも格上げしているように感じました。

過去は美しいばかりじゃないけど、それが無ければ現在は無い。
すべては今につながっているのだと胸に沁みいる作品でした。


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