短編で読みやすそうな恋愛小説。という事で早速読ませて頂きました。
主人公は、何処にでも居そうな普通の青年でしょうか?
彼が、何となくお祭りをブラブラしている所から始まります。
一人称。彼からの目線で語られるお祭りの風景描写。それが、まるで彼の目、耳、肌と私がリンクしている。そして、私が本当にその場にいてそのお祭りの空気を感じている。そのように感じる、自然な描写だと思いました。
彼の心も彼が語るのではなく、彼が見たお祭りの風景への感想から彼の心情を感じさせる。そんな風にも感じて、作者さんは文章書くのがとてもお上手な方だと思います。最初の冒頭部分でガッチリと物語に引き込まれ、そのタイミングで、彼女が現れます。偶然にであった彼女と彼は成り行きでデートをします。この短いデートの間、とても短い間なのに、二人を襲うドキドキの展開。
もう、私は胸キュンしっぱなしでした。そして、クライマックスの先!もしかしたら幸せな未来が見えているかも?
ロミオとジュリエットは悲恋の物語。だけど、『狐ノ嫁入リ』はきっとちがいます。
最後まで読んで私はそう思いました。
もしも読まれていないなら、是非読んで見てください。とても良い物語だと思いますから。
ちなみになんですけど、『魔法』を『まほう』と読まず、別の読み方をしている所があります。それは、この物語の彼女さんが言う台詞にあるんです。私、この物語で一番のお気に入りはその彼女さんの台詞です。なんかロマンチックです。
作者さん、素敵な時間をありがとうございました。
読んでいる最中も、読んだ後も、何かこう、幸せな温かい気持ちが溢れますね。
天気雨を狐の嫁入と称する風習は、どの程度残っているのでしょうか。私は、40年以上前の小学生新聞(朝日新聞が発行元だったかなぁ)に掲載された漫画で、狐の嫁入を知りました。それ以降の人生で、狐の嫁入の言葉を耳にした事は、殆どありません。
その漫画のストーリーは、人間の主人公と狐のヒロインが淡い恋を展開するという奴で、設定も小学生高学年だったはず。だから、子供騙しのような淡い恋のエピソードだらけだったと記憶しています。ラストの狐のヒロインが姿を消す際に天気雨になって、そこだけ鮮明に記憶が残っています。そんな40年前の記憶を呼び起こさせられました。ありがとうございます。
それと、所々に散りばめられた難しい言葉が、薬味のように効いてますね。
短編にはMAX2つが信条なんですが、これは3つだと思いました。