それはたぶん、生きるような幸せ。
「人間のような化け物と、化け物のような人間、どちらの方がより化け物に近しい存在なのかしらね」
魔女は言った。
「そんなものは、どちらでも同じことだ。化け物は、所詮化け物でしかない。例えどれだけ人間くさくても、化け物は化け物だし、どれだけ化け物じみていようが、人間は人間だ。荒唐無稽もいいところだ。その問いは、存在自体が成り立たっていない。徹頭徹尾破綻している」
私は答えた。
「じゃあ、あなたはーー“どっち”なのかしら?」
魔女は言った。
「そんなものは決まっている」
私は答える。
「“私こそが化け物だ”」
私は問う。
「ならばお前はどうなんだ?」
魔女は答える。
「そんなものは決まっている」
「“私こそが人間だ”」
魔女は笑った。
私は笑わなかった。
ーーーー
『黄昏』は、人に恩恵と“毒”をもたらす。
様々な国が、《黄昏の線路》と呼ばれる空間によって枝葉の如く溶接された世界ーーアルセリカ。
そんな世界で、
化け物であることを限りなく自覚する少女ーー《エルトゥールル・ハウル》は、運命と物語に導かれるように、二人の魔女に出会う。
曰く、黄昏の魔女。
《運命(ミラ)》
と
《物語(クロニカ)》
そして、黄昏は加速する。
ちっぽけな世界の、一つの終わりへと向かって。
生の朝と。
死の夜と。
これは、その狭間にあるーー《黄昏》の物語。
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