女はロマンチストの皮を被ったリアリスト。男はリアリストの皮を被ったロマンチスト。この作品を読んでいたらこんな言葉が頭のなかに浮かんできました。いやあ、本当に切ないです。
歳の差婚が市民権を得た時代。このような構図が想像出来なくもない。しかし、ただ、どうしても私は感情論が先に浮かんでしまい、モヤモヤとした気持ちになってしまった。何と言うか、哀れな主人公に同情してしまったんだと思う。恐らく、主人公は少女の結婚生活に不安があったのだろう。年上の男に弄ばれるのではないかと。中年の男性にとっては良い時代。若い世代には苦しい時代。まあ、逆にそれをバネにして頑張るのかなあ。
とにかくアイデアが素晴らしいなと思いました。SFというジャンルは一種の思考実験だと僕は思っています。この作品は今の日本の「あり得るかもしれない近未来」の一つのケースを提示しているようでとても面白かったです。今の世界の上に、仮定を与え、物語の中で実験する。SFの醍醐味がギュッと詰まった作品だな思いました。
何というか、切ない。でもその切なさが良い。幼馴染のさっぱりした態度、主人公の一人称語りから感じられる哀愁。グッとくるものがあります。こうした未来社会を描くSF的な作品、やはり良いものです。
男女の繊細な恋愛観の機微と推移を見極め、SFの本質のひとつともいえる僅か先の未来の予測。いやあすげえな、俺は完全に同世代の厨なので、ちょっとくやしい気分で読んでおりましたが、もっともだなと思って読ませてもらいました。楽しかったです。
少子高齢化社会の現代においてリアリティを感じさせる近未来のお話でした。その中で幼馴染みの男子高校生だけがいつの時代も変わらない淡い初恋の想いを抱えてもがいている。その切なさにぐっと胸を締めつけられる思いがしました。
特別な科学技術が語られたり、「少し不思議」だったりするタイプのものではなく、いわゆる純粋な近未来社会シミュレーション系のSF小説でした。なるほど、こういう設定か~と思って、フンフンと青春恋愛小説的なせつないラストを予想しつつ読み進めてみたら、その鮮やかな展開に感嘆! 短編ならではのストーリー構成がお見事です。
自分が好きな人が結婚すると聞いた時の、この切なさ。私にも経験があるだけに、なんだか、悠真くんにすごい共感をします。恋する娘がとてもいい子なので、余計に。その上で想いを伝えて砕け散る様は、思わずお見事と唸ってしまいました。そんな負け戦を経たからこその、ささやかな結末。よかったね、と言ってもいいのでしょうな。最初から最後まで、いろいろ感情が渦巻いてばかりでしたよ。
年の差婚が推奨された近未来の物語ですが、昨今の情勢を考えると他人事と思えない設定です。確かに精神年齢の成長度に合わせた結婚というのは、ありかもしれませんね。(あっ、墓穴を掘ったかも。。)
とんだディストピアになってそうな気もしますが(笑)高校生の悠真くんにとってはやりきれないでしょうね。婚活市場のシビアさを想像するとなかなか手放しで受け入れられる設定ではありませんでしたが、時にそんな想像を働かせてみるのも楽しいものです。ちゃんとオチもついて短編らしい良い終わり方の作品でした。