あとがき

 コンテストも終わりましたので、幾らか改稿させて頂きました。筆者です。

 グリムノーツの二次創作という事で、最初は単に盛り上がる感じのお話にしようかと思ったのですが、ジャンヌの想区を経た事でこの話と相成りました。


 グリムノーツの面白い点は「運命への抵抗」が、劇中においては基本的に悪だという事です。概ねのコンテンツにおいて、与えられた運命を善しとせず足掻く様は美徳として称えられ、多くの場合は主人公側の理念となります。


 しかしグリムノーツはこの真逆で、運命に抗った者はカオステラーとなり、やがてはその世界ごと消滅してしまいます。よってその世界の崩壊を食い止める為に奮迅するのが主人公グループとなる訳ですが、この残酷さがジャンヌの想区では特に際立っています。


 元々が御伽話や昔話を題材としている想区は、多少の残酷があったとしても「物語だから」で片がつくのですが、ジャンヌの想区だけはがっつりと史実が入ってしまっている。これは大きな相違点です。


 人が死に銃火が飛び交う戦場で、火刑台で永劫に死に続ける聖女、ジャンヌ・ダルク。果たして制作スタッフがどういう意図でこの想区を作ったかは分かりませんが(ジャンヌ人気は不動ですから。そういった理由もあろうかと推し量ります)ともかく筆者は、この残酷に心を打たれた訳です。


 近々のコンテンツでストーリー性のあるジャンヌと言えば、FGOかドリフターズとの認識でしたが、このジャンヌの想区であれば、上述の何れとも異なるジルを描けるのでは無いかと考えました。


 というのもFGOのジル・ド・レは狂人ですし、ドリフターズの場合は「共に地獄に落ちよう」という心中論者です。つまるところグリムノーツの様に「繰り返される非業の運命を断ち切り、無辜なるジャンヌを救い出そう」ならば、本作の世界観を活かしつつも、既存コンテンツとの差別化が図れるのではと思った訳です。


 なお現在は公式によって青髭が実装されていますが、執筆を終えた段階ではそれらの存在は無く、そういった都合で青髭は「化物」として描かれています(なお「ジルが青髭となるのは別の物語」としたのは、ジル・ド・レのフレーバーにそれを匂わせる記述があった為です)


 実装イメージとしてはチャートの項にもある通り、武器シンボルの収集イベを念頭に置きました(当時は主人公グループだけ、といったイベントも、最近はロキなども顔を出しておりますので、あながち筆者の方向性も暴投では無かったのかなとも思っています)


 もしかするといずれ、豆の木イベで「ジャンヌを救い出す為に成長するジル」なんてキャラも登場するのかも知れませんね。ちなみに筆者自身はというと、同社の新作「シノアリス」が非常に気になっています。




 そういった次第で賞レースの結果は全く振るいませんでしたが、個人的には好きな物語だったと満足しています。同じく気に入って下さる方がいらっしゃれば、幸甚の至りです。


 しかしとは言え。このまま埋もれていくのも寂しい限りですから、ネタ自体を何処かで再構築して、オリジナルの「ジル×ジャンヌ」ものとして書きたいなあとは思っています。(仮題としては「聖女錬成 - La Pucellation - 」とでもしておきましょうか)


 いつかは、筆者の物語も救済されれば良いのですが。

 それでは長文となりましたが、最後まで拙作をお読み頂き有難うございました。


 またどこかで。

 かしこ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

悪魔にとて我は祈ろう、それで貴女を救えるのなら。 糾縄カフク @238undieu

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ