突如として拡張した現実――ゲーム世界AROUSE《アロウズ》。
仮想でありながら実態をもったARCというモンスター。そして、抗えるのはAROUSER《アロウザー》と呼ばれる者たちのみ。
ゲーム系ライトベルの王道中の王道の出来ながら、その完成度は高く、オリジナリティも詰まっている。東京の駅を『ダンジョン』に見立てて攻略していく様子は、誰しもがワクワクしてしまう素晴らしい設定だ。そう、東京の駅はまさしくダンジョンなのだ! 田舎者たちは、さぞ迷いに迷うことだろう。(都民の僕も迷います)
僕がこの作品で一番素晴らしいと感じたのは、物語の完成度。物語の中の設定を最大限に活かし、丁寧に伏線を張って最後まで読者に物語の楽しみを提供している。長編で使えるネタを僅か三万字程度に凝縮したと言っても過言じゃない!
そして、戦闘で使われる数々の武器やギミックはとてもビジュアル的であり、動いているところを見てみたいと思わせる! 「――インパクト・ショット!」
まぁ、コンテスト終了の数日前にエントリーした遅すぎる作品なので、読者選考は通らないと思うが――ぜひとも編集のピックアップで生き残ってほしいと思う。
見せてもらおうか――
ベテランAROUSERの実力とやらを! にっこり
地下鉄がダンジョンで、仮想現実の戦い? 解説だけで尻込みしかけたけど、SF音痴&超怖がりの私にもきっと読み易い筈だ、と作者への絶対的信頼感がカーソルを前に進めてくれた。
一気に読み終えると、心地よい風が吹いて行く。
まだ第一部で、大切な人を救出する任務は残っているが、ここまでほんとによくやった、と登場人物たちを心から労いたくなる。自立して、大切な人たちのために戦う女の子の話は、やっぱり好きだ、大好きだ。
カッコいいし、じーんと来る。
既に多くの文才に溢れたレビューが画面を覆い尽くしているので、優れた分析と評価はそちらにお任せして、私は勝手カンソウだけ置いて行くことをお許し頂きたい。
本作がコンテストを通過し、シリーズものとして書籍化される日を楽しみにしたい。
虚構が入り混じった現実世界にて、東京を取り戻すべく主人公たちAROUSER≪アロウザー≫がモンスター《ARC》に立ち向かう! その肉体と魂をかけて! そして、虚構と現実の間にあるTYOKYOで、主人公がみる真実とは?……というストーリー。
ちょっとした行動描写や戦闘描写がいい感じに光っている。想像しやすく、緩急などの勢いも十二分にある。東京に行ったことがない人間でも、なんとなくイメージ像が出来上がる。これだけでも、シビれる感覚がある。
しかし。
この物語はそれだけではない。これは主人公の陽那とその魂を賭けた戦いである。彼女と妹の心理描写もぐっときた。
伏線や盛り上がりもしっかりと、30,000字前後でうまく収めた作品に仕上がっている。
気になった方は、ぜひご一読を。
(余談:
東京の路線図がすでにダンジョンだと思う田舎者(私)は、「本当にダンジョンにしやがった……!」と震えずにはいられなかったです。東京こわっ)