ユメもウツツも、ままならぬ人生の裏表

失恋、失意、やけ酒の夢。
気が付けば、そこはデンマークではない場所。
彼は海底の王として、愛娘の成長に目を細める。
読者は気付く、人魚姫の悲劇の予感。

奔放なデュマに背中を蹴飛ばされ、
彼は己の夢幻の中に、
物語の行方を追い掛ける。
愛娘を恋の呪縛から救うため、のたうつ。

近代ヨーロッパの華やぎつつも退廃的な空気が
そこはかとなく感じられる文章が、
彼の自分語りにリアリティを持たせている。
すごく好き。

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