夫か兄か
僕は結を受け入れた。
僕は本気で結を愛している。たとえ、結の愛が兄に向けたものであったとしても、僕は結の愛に答えていこう。
初めはそう意気込んでいたが、実際結婚して二人の生活が始まると、それは想像以上の苦痛を伴った。
僕は今日も仕事を終え、電車に揺られ、とぼとぼと家へ帰る。
「はぁ…」
玄関の扉の前で溜め息が漏れた。僕がどんなに彼女に尽くしても、彼女が僕に労いの言葉をかけてくれることは一切ない。
家事全般が得意で、いつも僕の身体を労ってくれる結。しかし、結が本当に愛しているのは僕ではないと思うと、それさえ苦痛に思えてくる。
互いの愛が交わることは永久に無いのかと思うと、ドアノブを握る手が重くなる。
キィッ…
それでも僕は扉を開けた。
そこには、屈託のない笑顔で僕を迎え入れてくれる最愛の妻、結がいた。
「おかえり、今日もお疲れ様。お兄ちゃん。」
彼女の純情 天邪鬼 @amano_jaku
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