『クリティカルリーディングをしよう』にて3.11について触れたが、やはり災害が起こると必ずと言っていいほどデマが広がる。
中にはデマを信じて、「この話を一人でも多くの人に…」という正義感に駆られて拡散する人もいるだろう。役に立つ情報を即時広めることができる──それは一つの、ネットワークの利点であり、そういった考えを否定するつもりは無い。
だからこそそういった、他人の不安を煽る、良心に付け入るような行為を面白半分にできることが許せない。というより、私にはそれが平気でできてしまうことが信じられない。
「そんなときこそどっかり構えて、批判的に情報を判断してほしい」…なんてことを安易に言うつもりは無い。私はあの大震災の被害者ではない。その恐怖を知らない人間が、布団にぬくぬくとくるまりながら下らない、陳腐な提言をするつもりはない。「こう感じるだろう、こう考えるだろう」などという推測を語ることさえ、実際にそれを体験した彼らに対する非礼と思うから、決して「彼らの気持ちになって」などとは言えない。
ただ、だからこそ受け取る側でなく、そういったデマを発信する側を徹底的に糾弾すべきだと思う。
そして拡散する人々にもお願いしたい。少しでも多くの人に地震について最新の情報を…ただでさえ自然災害の多い日本、改めて、あなた達の正義感を否定するつもりは毛頭無い。
けれど、拡散する前に今一度、「批判的に情報の価値を判断した上で」送信ボタンを押してほしい。クリティカルリーディングは決して、論文を読むためだけのスキルでは無い。
また福島で…やはりニュース速報を見たとき、頭を過ったのは5年前の災害のことだった。ちょうど今、津波注意報が解除されたと知り、とりあえずは安堵している。
それともこの安息を嫌って、またも人の不安を煽るデマを流す愚か者が現れるのだろうか。