ジャンルはSFですが、とても美しい純愛もののようでした。
片翼では大空を羽ばたけない。まるで、生まれたときから両翼の一対を思わせる、ふたりのうら若い男女。輝かしい未来がある、成熟しきれない純粋な愛だからこそ、こんなにも埋めようのない切なさが感じられるのかもしれません。
ラストシーンのふたりのセリフには、悲劇を至福に変貌させる、強烈な色鮮やかさがありました。
拝読中は、とても切なく美しい映像のワンシーンを垣間見ているひと時でした。制限時間が一時間、1600字程という、限られた枠組みの中でありながら、読む者を引き込んで放さない、素晴らしい作品だと思います。
切ない感動をありがとうございました。