美女と機獣


 得体の知れない異形を屠るための兵器、それを駆る人間たちの戦い。それ自体はよくあるものではありますが、ここには特撮ヒーローのような爽快さや痛快さよりも、酸鼻を極めたリアル感、肝脳塗地を地で行く凄惨さが満ち溢れています。

 そしてその物語の中核に置かれたのは、美しくも影のある少女、美央と他の兵器とは一線を画す機械の怪獣――神牙。
 美女と野獣ならぬ、美女と機獣――そんな一人と一機が容赦なく戦場を踏み荒らし、悪鬼を拉ぐ展開に危険さと興奮を抱かずにはいられません。

 なにもそこまでせんでもと思わせる戦闘描写、時間を忘れて読ませてしまう文章力に、釘付けになること請け合いです。

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