ネコの独白もといエピローグ
古今東西、御伽噺の最後において皆が幸せに暮らしましたなどと締めくくるのが物語の定石である。だが、残念ながら吾輩を可愛がっていた雇われ巫女殿は、光陰いかばかりか過ぎるも別段変わる風もなく吾輩を撫で神社を掃き清めるだけであった。巫女殿は適度に勉学に追われ適度に友人と過ごし、過度に吾輩に愛をそそいだ。
まあ、それが有り体に言って幸せであるなどとは分かり切ったことであるのだし、日々の浮沈はあるにせよ、傍から見ていて巫女殿は常住坐臥幸せであった。
人間の世に在って、突然の変化は否応なしに誰彼問わず訪れるものだが、一方で変わらぬ日常の営みも往々に宿している。巫女殿は今春から地元の大学に通うそうだがアルバイトを止める気はないらしい。つまり、吾輩と巫女殿の関係において今後とも何ら変わりはないということである。
ネコミコ 梅戸藤花 @dion_kawaii
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