広告コピーを生業にされているという著者が語る、時には我々(自称)物書きが目を背けたくなるようなせきららな心理。
次々と読み進めたくなる、仕掛けも豊富な小気味のいい文体で、気がつけば最新話まで一気に読み終えていました。
ネタバレになるのでこの場で詳しくは語れませんが、「自分の感性でいいと信じたものを、愛情を込めて書け」というメッセージが、ひしひしと伝わってきました。
とはいえ、伝えることを仕事にされている著者らしく、客観的な視点は失わない。
だからこそ、心情を吐露しながらも独りよがりにはならず、好感度が高いのではないでしょうか。
「そうそう」
「そうだよね」
そう頷きながら、今日もまた書かずにはいられない人達の心をあたたかく包みこんでくれる、精神安定剤のようなエッセイです。
ほんまそうやで、ってなぜか関西弁で共感してしまった。
あと「ウソをつかない」。これも大事だ。大事なことがいっぱい書いてはる。
仕事の中で文章を書くことがある。でこの文章書きはほんと、マジで、地獄、艱難辛苦、吐き気と戦いながらも、しかし〆切というものがあるんで、その直前に奮起して書く。書かねばならぬからだ。書くのだ。書くーううううーおおおあー、ってなって書く。書き終わったらスパンとその文章のこと忘れて飲みに行く。
でコピーライターという世界についてはよく知らないけど、似たような気分でやってらっしゃるんだなァと思い、なんというか勝手な共感というか、全然違う感じではあるんだろうけど、それでいいんやで、兄ちゃん、って言われたような気分で、そう、なんとか他のひとがやりたくないこと、の中で、自分がギリギリできること、をやって飯を食っていくしかないんだなあ、と深く感じいったのでありました。
あまり関係ない話であるが、「仕事楽しい〜」「最高の仕事です」「好きを仕事にしよう」みたいな人、のうち半分くらいが、唐突に旅に出たりしてしまう気がしてるので(残り半分は普通に人生謳歌してて羨ましいなと思うけど)、ある程度「仕事嫌です」「三連休もう終わっちゃうのマジでマジ」みたいな感じでいた方が、健全、持続性ある、という感じもあったりしますよね。しませんか。そうでしたか。