僕想う故にカンソウ――この物語には、メッセージとロマンが詰まってる!

●概要
仕事を嫌になった主人公がヤケになって逃げ出し、パーキングエリアで車中泊をしているといつの間にか異世界へ。巻き込まれ型の面倒くさがり屋主人公の一人称小説。

一泊ごとに別のヒロインが登場する。一度全面的な改稿をしており、現在の一話はバージョンアップ後のもの。(改稿前の文章も読了済み)

●所感
出だしの主人公のアクの強さとは裏腹に、物語は終始スローペースでヒロインとイチャイチャするか飯を食うかなので、そこまでストレスを感じることなく安心して読み進められた。主人公と一緒に異世界転移をする『アウトランナー』という車が一種の目玉となっており、この車のギミックや薀蓄が物語の中にたくさん散りばめられている。車好きなら大いに楽しめるだろう。(ヒロインと飯を食って、ヒロインといちゃつくためだけのギミックではあるが……)

現在『六泊目』まで公開されており、僕は『四泊目』まで読了した。『三泊目』になると読者の興味を大きく引くような謎も出てくる。異世界に転移するための条件やリスクなどもあるようで、設定自体は作りこまれているが、『一泊目』・『二泊目』では基本的にヒロインといちゃついて飯を食っているだけなので、その部分を楽しんでもらいたい。

物語には作者から読者へのメッセージが書かれ、そのメッセージ性も強いので、落ち込んでいたり、なかなか結果が出ないことに苛立っている人にぜひとも読んでもらいたい物語だ!

●批評
テンポのある文章でいっきに読めるライトな異世界ものでありながら、一話から主人公に嫌悪感を抱かせる導入で、読者を振るいにかけてくる。また車の薀蓄やスペックの描写も多いので、そこらへんにまるで興味のないという読者にはつらいだろう。また強いメッセージ性も伝わらない、そういったものを求めていない読者には余計なお節介、おじさんの説教としか受け取られないので、メッセージ性が仇になるかもしれない。

●総評
色々書いてきたけど、僕は素直に楽しめた。主人公のことがけっこう好きだし、わりと共感できる部分もある。メッセージは気に入った部部だけを受け取ればいい。だから、言いたいことは一つだけ――

――面白いから、読めっ!!

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