第2話ビラまき

僕らの出るライブなんて、お客さん来るわけないです。


いきなり、マイナスなとこから入ってきましたけども。

これが現実です。

みんな忙しいのに、働いてるのに、何が楽しくて、売れてない芸人たちが出てるライブ見に来ますか?

そう言っちゃ身も蓋もないですが、本当にそうです。


ましてや、僕らのライブは、完成されてるネタを見せるよりも、まだ未完成のネタを試してみたり、半ば練習モードみたいな状態でお客様に披露する事が多かったので、


そりゃ面白いと思って見にくるリピーターもおらんわ。

みたいな感じです。

ほんで、出演者の芸人はノーギャラなのはもちろん、チケットノルマがあって、

10人呼ばないと、あとは自腹。

というのが通例でした。


ほんで、芸人やり始めの頃は、友達呼んだり、身内を呼んだりでチケットノルマを何とか軽減するのですが、

ライブが月に一回、二回ともなると、身内も尽きてくるわけです。

そんなに毎回毎回新ネタできるわけでもなくて、何回もおんなじネタ見せられたら、そりゃ友達も身内もしんどくなります。


そして、ライブ会場前でビラまきが始まるわけです。

入場料は500円~1000円くらいが通例ですが、なかなかそれでもチケット買ってくれる人がいない。

それを値下げして、自腹覚悟で声をかけても、それでもチケット買ってくれる人がいない。


そうなると、そう!負のスパイラルです。


「無料でもいいから、来てくれ!」


と、言ってしまうのです。

それでも、来ないんです。

そうなると、もう、最悪の最悪のスパイラル。


「来てくれたら、300円あげるから!」


コレで、やっと食いついてくる人間が出てきます。

二人連れてきたら、600円ですからね。

もちろん出演者の芸人は、チケットノルマを負担したあげく、そのお客さんにお金渡して、出血大サービス。


それほどまでして、集客ゼロを体を張って食い止めているのです。

ほんで一人300円にしたとたんに、そこから、さらに2、3人連れてこられて、


来た人間に、900円支払ったときには、

「お前ら、笑えよ!」 

くらいの気持ちになってます。

もちろん、そんな状況で来た客は金目当てですからね。

笑うはずもなく、途中で帰ったり、寝たり、客席で携帯触りだしたり。


僕ら売れてない芸人は、人に見てもらうのも、やっと。

ってえのが、現実です。(>_<)

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る