第6話DVD②

よく、スナックやらで賑やかしのため、呼ばれる事があります。


カラオケの前説であったり、単にお客さんを盛り上げるためだけの前説。

それでもいくらかのお金になったりしますし、喋りの勉強になるからと、すすんで行ってました。


マイクもあれば幸せ。

なければ地声で叫ぶ。

優しいスナックは、飲み物くらい出してくれますが、酷いスナックは、何も出してくれず、普通に飲み物でお金をとられたり、

椅子にも座ってないのに、チャージ料をとられたり。


ここで大切なのは、向こうが呼んでいるのか?

こちらが勉強のためで呼んでもらっているのか?

と、いう境界線が大切です。


普通にガチで喋りで盛り上げてるのに、チャージ料だの、飲み物代などとられては、


客やん!

客としてもてなせや!


なんて不条理な気持ちにもなります。


ましてや、こういうとこに行くと、まともに僕の話なんか聞いてくれません。

連れてきた女の子とくっちゃべってる方が、楽しいおじさんもいます。


そんな中、細々と喋らせてもらうのが通例です。


ある時

そこのママさんが、やたら僕を持ち上げてきて、


「みんな!聞いてー!原田さん喋るよーー!!」


と、わざわざお客さん達の会話を遮って、僕に興味を引かそうとしてくれます。

たしかに、ありがたいことです。

そして、喋りはじめて、少し、ボケた事を言うと、


「よっ!面白い!よっ!面白い」


なんて、はやし立てたりします。

本当に面白いとき、人はそんな風には言いませんが。

それでも、他のお客さんは自分たちのペースで隣の人と会話しはじめます。

そんな時も、そこのママさんが、


「ちょっと!今、原田さんが面白い事言ったよ!原田さん!もう一度言ってあげて!」


なんて、同じ事を二回言わされる。

ほんで、そのお客さんは全然笑ってないのに、また


「よっ!面白い!」


いやいやだからね。

よっ!とか、合いの手いらんから。


本当に面白い事喋ってたら、一回目でもっと笑いきてるから!


ほんで、新しいお客さんが店に入ってきたりすると、


「原田さん面白いんだよ!ほら、原田さん!さっきの、もう一度喋ってあげて!」


だから!

一時停止、再生し放題の、


DVDか!!


それでも喋らせてもらいますけどね。

二回も三回も。

笑わないですから。


「よっ!さっきより、面白い!!」


そんなわけないでしょ?

さっきより、なにも足してないし!


そんな訳です。

変に盛り上げてくる、スナックのママさんは、優しいですが。


芸人には、しんどい時がありますね。(^^;)


でもチップくれたりしたら、もう、何回でも同じ事言わせてもらいますけどね。(^^;)


「よっ!面白い!!」

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