亡くなったとは一言も書かれていないのですが、「あの人」は喪われました。「あの人」が消えた理由は分かりません。しかしある時主人公の世界からごっそり彼の姿が消えてしまったのは確かです。かといって世界が終わるわけではない。毎日が惰性で続いていく。しかしそうして日常を繰り返すことこそ一種の儀式なのかもしれないなと思いました。「あの人」がいなくなっても、「あの人」の輪郭は今なおここにあります。私には主人公が今夜も「あの人」を目の前に感じて飲んでいるのが想像できます。物悲しくもあり、やわらかくやさしくもあります。
無駄な表現をバッサリと省いたようで、胸を動かすものは全て残してある、この短さでとてもよくまとまっているとすごく感心しました。ろゐかさんはこんな小さな一場面を切り取って表現するのがとても巧いのだなと。応援しています。
男同士の友情がしみじみ伝わってきました!
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