推理小説としても極めて優れた作品

　ファンタジー物としても優れた本作ですが、主人公を探偵役として考えるとあら不思議！　非常に構成が優れた推理小説としての側面が露わになります。敵を倒す為に綿密な捜査をし、そして必要な証拠を集め、徹頭徹尾理知的に行動する主人公の姿は、往年の本格推理物の名探偵さながらです。そして敵の弱点という「犯人を有罪にするに足りる証拠」の作中提示が非常にフェアで、後で読み返してみても「不自然な立証」がない、とても構成が優れた作品です。そして何よりも主人公の相方である女神のキャラクター造形が理想的なワトソン役そのものであり、主人公の天才性を見事に演出していて最高です。

　推理要素があるファンタジー作品をお求めの方、または古典的スタイルの推理小説を読みたい方は必見の逸品です。お薦めです！